急速に変化する米国政治 使用中の連邦職員も解雇対象

トランプ政権 政府機関での人員削減開始へ

2025/02/15 更新: 2025/02/15

トランプ政権が複数の政府機関で職員解雇を開始したことが、関係者や労働組合の話で明らかになった。

米保健福祉省の広報担当者は、今週中に疾病予防管理センター(CDC)や食品医薬品局(FDA)の職員の解雇を進めることを認めた。ただし、対象となる職員数については言及を避けた。

また、退役軍人省のダグ・コリンズ長官は13日、試用中の同省職員を含む1千人以上を解雇したことを発表した。

一方、消費者金融保護局も今週から試用中の職員の解雇を開始している。これに対して労働組合がトランプ政権の解雇計画を巡る訴訟を起こしている。同局は取材に応じていないが、14日に裁判所が消費者金融保護局の解雇を中止するよう命じた。

トランプ大統領は2月11日、大統領令を発令し、各省庁の長官に対し「大規模な人員削減に向けた準備を迅速に進め、削減の対象となる可能性が高い分野で働く臨時職員や再雇用された年金受給者を退職させる」よう指示した。この措置によって、「無駄や肥大化、孤立主義」がなくなると説明している。

米人事管理局(OPM)は1月、各省庁に対し試用中の職員のリストを提出し、継続雇用するかどうかを判断するよう指示していた。事情に詳しい関係者によると、OPMの担当者は13日、他省庁の関係者との会合で試用中の職員を解雇するよう助言しており、人事管理局自体もすべての試用中職員を解雇したという。

保健福祉省の広報担当者は、「当省は政権の指示に従い、大統領の連邦政府の再編および効率化に向けた取り組みを支持する行動を取っている」と述べ、「これは、保健福祉省が米国民に最高かつ最も効率的な基準で奉仕できるようにするためだ」と説明した。

なお、一部の省庁は解雇の有無について回答を避けている。トランプ大統領が廃止を望んでいると述べた米国教育省もその一つである。

批判者らは、この解雇措置を厳しく非難している。

「各省庁は、次世代の公務員を採用し育成するために何年も費やしてきた。こうした職員を一斉に解雇することで、今後の省庁運営に必要不可欠な人材を無駄にしている」と、アメリカ連邦職員連盟のエヴェレット・ケリー会長は声明で批判した。

一方で、解雇措置を支持する声も上がっている。

下院退役軍人問題委員会のマイク・ボスト委員長は声明で「友人であるコリンズ長官が、退役軍人や納税者のために省庁を適切な規模に再編成し、より良いサービスを提供するための正しい判断をしていると信じている」と述べた。

これらの人員削減は、トランプ政権が政府規模を縮小する取り組みの一環として、イーロン・マスク氏が運営する政府効率化省の支援を受けて進められている。トランプ大統領は、各省庁の長官にマスク氏のチームと密接に連携するよう指示している。

トランプ政権は就任直後、政府職員に対して「9月30日まで雇用を維持しつつも業務を行わない」という早期退職勧奨プログラムを開始した。関係者によれば、これに応じなかった職員は週5日の出勤が義務付けられ、ほとんどの省庁が規模縮小される見込みであるという。応募の締め切りは2月12日で、ホワイトハウスによると約7万5千人の職員が勧奨を受け入れた。

連邦裁判所は、この早期退職プログラムの締め切りを差し止めた後、実施を認める判決を12日に下した。裁判所は、プログラムを訴えた労働組合が法的立場を示せなかったと判断した。

一方、ワシントンD.C.地裁に新たに提起された訴訟では、労働組合がトランプ政権の「各省庁の人員削減命令が連邦法に違反している」と主張している早期退職プログラムにも異議を唱えた。

訴訟では、裁判所に対して「必須でない、試用中の、その他の職員を一斉解雇する行為を違法とする判決を下し、政府がバイアウトプログラムを拡大することを差し止め、削減計画において法律を遵守するよう命じる」ことを求めている。

労働組合の全米連邦職員連盟のランディ・アーウィン会長は声明で次のように述べた。

「トランプ政権による連邦職員を削減するための大統領命令は違法だけでなく、連邦職員や彼らが提供する公共サービスに深刻な悪影響を及ぼす。手遅れになる前に、裁判所が介入し、連邦法に違反したこの政権の責任を追及しなければならない」

労働組合によると、多くの省庁の職員の大部分は、過去の政府閉鎖の際に「不要」と見なされた職員で構成されている。例えば、国税庁の職員の半数以上がこれに該当するという。さらに、200万人以上の職員を抱える連邦政府には、約22万人の試用中の職員が存在すると推定されている。

メリーランド州に拠点を置く大紀元のシニアリポーター。主に米国と世界のニュースを担当。