ゼレンスキー大統領は19日、アメリカのウクライナ特使であるキース・ケロッグ氏との会談後、ウクライナは「アメリカとの間で投資および安全保障協定を結ぶ準備ができている」と表明した。
ゼレンスキー氏は、Xにケロッグ特使と「実りある会談」を行い、多くの「重要な詳細」について話し合ったと投稿した。
また、戦況やウクライナの安全保障、ウクライナ兵捕虜の解放について協議したという。
ゼレンスキー氏は「ウクライナは、アメリカとの間で、投資と安全保障に関する強力で実質的に有益な協定を結ぶ準備ができている」と述べた。
さらに、「ウクライナとウクライナ国民へのあらゆる支援、そして超党派の支持を与えてくれる米国に感謝する」と謝意を示した。
ゼレンスキー氏 米国の「現実的な対応」に期待
トランプ大統領が「選挙を経ていない独裁者」と批判したことに対し、ゼレンスキー氏は19日に行った夜のビデオ演説で「アメリカの現実的な対応に期待している」と述べた。
特使との会談は、ゼレンスキー氏とトランプ氏の関係が緊張する中で行われた。
ゼレンスキー氏はビデオ演説の中で「私たちにとって重要なのは、この会談とアメリカとの全体的な協力が建設的なものであることだ。アメリカや欧州との連携を強め、平和がより確かなものとなるよう目指していく」と強調した。
20日に予定されていた会談後の記者会見は、直前で取りやめとなり、代わりに写真撮影のみが行われた。
ゼレンスキー氏の報道官であるセルヒー・ニキフォロフ氏は、変更は「アメリカ側の要請によるもの」と説明したが、その具体的な理由については明かさなかった。
アメリカ代表団はこの件についてすぐにはコメントせず、ホワイトハウスも記者会見のキャンセルに関する質問に対し、現時点で回答を行っていない。
トランプ氏のゼレンスキー批判が欧州の結束を強める
トランプ氏は21日、ウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙による正統性を欠く独裁者」と批判した。これは、ゼレンスキー氏が「トランプ氏はロシアの偽情報に影響を受けており、モスクワに有利な条件で戦争を終わらせる可能性がある」と指摘したことへの反応とみられる。
また、ゼレンスキー氏に対し「早く行動しなければ、国を失うことになる」と警告し、「同時に、われわれはロシアとの戦争を終結させるための交渉を成功裏に進めている。この問題を解決できるのは『トランプ』とトランプ政権だけだ」と主張した。
欧州首脳がゼレンスキー氏を支持
トランプ氏の発言に対し、欧州各国の首脳は迅速に反応し、ゼレンスキー氏への支持を表明した。
ドイツのショルツ首相は、「ゼレンスキー氏の民主的な正当性を否定するのは誤りであり、危険だ」と指摘。「ウクライナはこの3年間、侵略戦争に耐え抜き、抵抗を続けている」と述べた。
フランスのマクロン大統領も21日、欧州の首脳らとの会合後に「フランスとその同盟国はウクライナとともにあり、欧州の平和と安全を確保するために全責任を果たす」と強調した。
イギリスのキア・スターマー首相は21日、ゼレンスキー氏と電話会談を行い、「ウクライナの民選指導者としての彼を支持する」と表明した。スターマー氏の報道官は、戦争中の選挙延期は妥当な判断だと述べた。
トランプ氏の発言の背景
トランプ氏の発言は、ウクライナ国内の一部反対派からも反発を招いた。ゼレンスキー氏と対立する元首相のユリヤ・ティモシェンコ氏は、「次期大統領が選出されるまで、ゼレンスキー氏はウクライナの正当な指導者だ」と述べた。
また、「戦争中に選挙を実施することは不可能であり、非道徳的でもある。軍が投票に参加できない状況では選挙は成立しない」と指摘し、「政府を交代させるかどうかを決めるのは、ウクライナ国民の権利だ」とFacebookに投稿した。
トランプ政権はこれまでも、ウクライナと欧州の防衛は欧州諸国自身が担うべきだと主張し、各国に軍事予算の増額を求めてきた。しかし、欧州側の対応は遅れている。
現在、トランプ氏の新政府は戦略の重点をインド太平洋地域へとシフトし、中国共産党の影響力に対抗する姿勢を強めている。
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