立憲民主党が、2025年8月から予定されている高額療養費制度の負担上限額引き上げの全面凍結を重ねて要求した。これに対し、福岡厚生労働大臣は、長期治療患者の負担据え置きを含む修正案への理解を求めた。
20日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の中島克仁氏は「さまざまな変化に対応する抜本的な見直しが必要だ。いったん凍結し、セーフティーネットを守るべきだ」と指摘し、引き上げの全面凍結を要求した。
高額療養費制度は、医療費が高額になった場合に患者の自己負担を抑える仕組みである。政府は2025年8月から段階的に負担上限額を引き上げる方針を示していたが、患者団体などからの要望を受け、長期的に治療を続ける患者の負担は据え置くとする修正案を提示している。
この修正案では、直近12カ月以内に高額療養費制度を3回以上利用した「多数回該当」の患者については、負担上限額を現行のまま据え置くとしている。しかし、立憲民主党は、この修正案でも不十分だとして、全面的な凍結を求めている。
一方、2月19日には立憲民主党が「高額療養費自己負担引上げ凍結法案」を衆院に提出した。同党は、引き上げ自体の問題性に加え、決定プロセスの不適切さも指摘している。
高額療養費制度の見直しをめぐっては、患者団体からも強い反対の声が上がっている。全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「引上げ幅が極めて大きい」と指摘し、「皆保険制度の事実上の崩壊につながることを危惧している」と述べている。
政府の修正案と立憲民主党の全面凍結要求の対立が続く中、高額療養費制度の行方は不透明な状況が続いている。今後の国会審議や与野党協議の進展が注目される。
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