2月24日、昨年の大統領選挙に出馬し、その後撤退してトランプ氏を支持した起業家のビベク・ラマスワミ氏が、オハイオ州知事選への立候補を正式に発表した。
ラマスワミ氏は1月20日、政府効率化省(DOGE)の役職を辞任していた。
出馬表明イベントの会場には「Vivek for Ohio」のプラカードを掲げる支持者が集まり、トランプ氏支持やDOGE関連の服を着た参加者も多く見られた。
トランプ氏が強力な支持を表明
トランプ大統領はXに投稿し、ラマスワミ氏への支持を表明。
「ビベク・ラマスワミがオハイオ州知事選に立候補した。私は彼をよく知っているし、かつて競い合った仲だが、特別な存在だ。若く、力強く、賢い! 彼は良い人で、心からこの国を愛する人だ。オハイオ州の偉大な知事になるだろうし、決して皆を失望させない。私は彼を完全に支持する」
ラマスワミ氏の生い立ち
ラマスワミ氏はインド系移民の家庭に生まれ、ハーバード大学とイェール大学ロースクールで学位を取得。ヘッジファンドQVTフィナンシャルの投資パートナーとして成功した後、バイオテクノロジー企業Roivant Sciencesを設立し、自身の投資会社Strive Asset Managementも共同創業した。
2021年には著書『Woke Inc: Inside Corporate America’s Social Justice Scam(ウォーク・インク 企業アメリカにおける社会正義詐欺)』を発表し、全国的に注目を集めた。2024年の大統領選では、著書『真実 アメリカ第一の未来』の中で、「神は実在する」や「性別は2つある」といった10の核心的信念を掲げた。
「オハイオ州を第2の産業革命の中心に」
ラマスワミ氏は、オハイオ州をビジネスに優しい州にすることを公約。1900年代初頭、オハイオ州はアメリカで最も裕福な都市のいくつかを擁していたことを引き合いに出し、「未来の産業の分野で、オハイオが新たな産業革命を主導する」と訴えた。
また、州の所得税をゼロにすることを目指すと宣言し、「それは皆さんのお金であり、政府のものではない」と強調。固定資産税の引き下げにも取り組むと述べ、「それは皆さんの土地であり、政府からのリースではない」と語った。
福祉改革と教育改革を公約
メディケイド(低所得者向け医療制度)や福祉給付に就労義務を再導入し、「オハイオ州民の自立を支援する」と表明。教育政策では、公立・私立・チャータースクールに加え、ホームスクール支援も強化する方針を示した。
さらに、全教員、校長、教育長に対し成果に応じた給与制度を導入し、「オハイオ州は全国で初めて、完全な実力主義の教育制度を確立する」と語った。
知事選の対立候補
共和党予備選では、オハイオ州司法長官のデイブ・ヨスト氏、南部オハイオの実業家ヒーザー・ヒル氏と争うことになる。
一方、共和党では元オハイオ州立大学フットボール監督のジム・トレッセル氏の出馬も取り沙汰されている。トレッセル氏は今月、副知事に任命されたばかりだ。
副知事就任の記者会見で、トレッセル氏は知事選出馬について、「出馬しないと決めたわけではないが、特に考えたこともない」と答えた。
ラマスワミ氏への反応
昨年12月、ラマスワミ氏は民主党員のイーロン・マスク氏とともに、H-1Bビザ制度についての発言が保守派の間で議論を呼んだ。
ラマスワミ氏は、アメリカ企業が海外からの労働力に頼るのは、国内の文化が優秀な人材を育てることよりも、平均的な能力の維持を重視しているためだと指摘した。
オハイオ州司法長官のデイブ・ヨスト氏は、ラマスワミ氏が立候補を表明した直後に「彼はトランプ政権の政府効率化省(DOGE)を1日で辞め、オハイオ州を見限って会社をテキサス州に移した。今回の選挙でも最後まで残るのか見ものだ」と批判した。
ラマスワミ氏がDOGEを辞任した際、ホワイトハウス副報道官のアンナ・ケリー氏は声明で、「彼は近く公職選挙に立候補する予定であり、本日発表された組織の方針に従い、DOGEを離れる必要がある」と述べた。また、「この2か月間の貢献に深く感謝しており、今後もアメリカを再び偉大にするために重要な役割を果たすことを期待している」と付け加えた。
共和党内では、オハイオ州財務官ロバート・スプラグ氏と州務長官フランク・ラローズ氏がラマスワミ氏への支持を表明している。
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