自民党の派閥をめぐる政治資金パーティーの問題で、旧安倍派の会計責任者が衆議院予算委員会の参考人聴取に応じ、一度中止された還付(キックバック)の再開を派閥幹部から求められたと証言したことが明らかになった。
27日午前、東京都内のホテルで約45分間にわたり非公開で行われた参考人聴取後、安住淳予算委員長が記者団に対して聴取の内容を説明した。
安住委員長によると、旧安倍派の会計責任者だった松本淳一郎氏は、2022年に安倍晋三元首相が中止を決めた還付について、「2022年7月に再開したらどうかという話をしてきた幹部がいたことは事実だ」と述べたという。
還付の再開を持ちかけた人物について、松本氏は「名前は今は言えない」としながらも、安住委員長の質問に対し「今は現職ではないと思う」と答えたとされる。
松本氏は、2022年8月に開かれた幹部会合で還付の再開が決定されたと証言した。この会合には下村博文、西村康稔、塩谷立の各衆院議員と世耕弘成参院議員が出席していたという。
しかし、これらの幹部議員は国会の政治倫理審査会などで「(2022年8月の会合では)結論が出なかった」と述べており、松本氏の証言との食い違いが浮き彫りになった。
安住委員長は「松本会計責任者からはひとつずつ丁寧な答弁が返ってきた。メモをとるのが大変なくらいの分量になった」と述べ、聴取の詳細さを強調した。
この問題をめぐっては、安倍派が2018年から2022年の5年間で、約6億7654万円のパーティー収入を政治資金収支報告書に記載せず、95の政治団体に還流していたことが明らかになっている。
野党は引き続き、還流を受けていた全議員のリスト公表を求めている。
石破総理は26日の予算委員会で「真実が語られ、事実の解明に資することは、国民の政治に対する信頼醸成に非常に重要な意味を持つ」と述べ、聴取の重要性を強調した。
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