アメリカの国際援助機関USAIDが、ウクライナ支援に関する情報公開を拒んでいたことが明らかになった。

上院議員（DOGE議連議長ジョニ・アーンスト上院議員）の調査チームが、ロシアによる侵攻と戦うウクライナを支援する目的の米国の税金の使い道を調べようとしたところ、米国際開発庁（USAID）は長らく資料の提示を拒否し続けたという。最終的に資料を見せたものの、機密情報でもないのに厳重な監視下での閲覧を強いた。これは調査チームが大紀元に匿名で語った内容だ。

調査の過程で、アイオワ州共和党の調査員たちは、数百万ドル規模のUSAIDプログラムが「『秘密の不透明な資金』として使用され、数百万ドルの米国納税者の資金をウクライナに流用し、我々の国益とは無関係な疑わしい目的に充てられている」ことを発見したと述べた。

不透明な資金の使い道

「資金は戦争で荒廃した国の経済的苦境を緩和するためのものだったと言われているが、実際はウクライナのモデルやデザイナーをニューヨーク、ロンドン・ファッション・ウィーク、パリ・ファッション・ウィーク、テキサス州オースティンのサウス・バイ・サウスウエスト（SXSW：大規模複合イベント）などに派遣するような無駄な活動に使われた」と調査員たちは述べた。

『秘密の不透明な資金』の中には「プレミアムな限定家具」の購入に11万4千ドルを提供するものや、「スカンジナビアスタイルの家具のための貿易ミッション」に9万1千ドルを融資するものがあった。

調査員が明らかにしたその他のUSAID資金には「ピクルス製造業者」に14万8千ドル、「オーガニック紅茶とコーヒーの生産者」に25万5千ドル、「アーティザナル・フルーツティー会社」に10万4千ドル、そして「ウクライナのワイナリー」を支援するための8万9千ドルが含まれていた。

USAIDの資金提供はまた、犬用首輪メーカーとペット追跡アプリケーションを販売する会社にそれぞれ30万ドルを提供した。その他「高級ニットブランド」に16万1千ドル、「ファッションデザイン出版物のカメラマン」に12万6千ドル、「高級ブライダルブランド」を支援するために8万4千ドルを提供した。

USAIDへの調査

アーンスト議員は2023年11月、当時のUSAID長官サマンサ・パワー氏に書簡を送り、USAIDの調査を開始した。

「ウクライナの戦闘員がプーチンに対抗する際の武器や弾薬の提供に対する私の支持は揺るぎないものだ。しかし、ウクライナへのいわゆる経済援助として、勤勉なアメリカ国民の税金から約250億ドル（約3兆7500億円）を分配することには大いに疑問を感じている。これには、キーウの『高級ニットブランド』のような海外企業への補助金も含まれている」とアーンスト議員は書いた。

さらに、2月4日付けの米国務長官マルコ・ルビオ氏宛ての書簡で、アーンスト議員は次のように書いた。「USAIDは情報を隠そうとしている。本来は機密を守るためのシステムを、議会の監視から逃れるために使っている」。

ルビオ氏が今月初め、USAIDの臨時長官としてパワー氏の後任に就いた。現在、同機関の職員のほとんどが一時的に休職中だ。さらに、人員削減計画が進行中で、最大2,000人もの職員が解雇される可能性がある。

一方、アーンスト議員による調査の詳細が明らかになった。これは、下院の特別委員会が重要な公聴会を開く予定の日と同じだった。その公聴会の焦点は、USAIDの職員たちが中東のテロ組織と関係のある団体に、少なくとも1億2200万ドルもの米国の税金を送っていた疑惑だ。具体的には、ハマス、ヒズボラ、アルカイダといった危険なテロ組織との繋がりが確認されている複数の団体が、この資金を受け取っていたという。

中東フォーラムのグレッグ・ローマン事務局長が、2月25日に重要な発言をした。ローマン氏は近々開かれる公聴会で、アメリカの対外援助に大きな問題があると訴える予定だ。

ローマン氏は次のように説明している。「この問題はオバマ政権時代から始まり、バイデン政権でさらに悪化した。今すぐに対策を取らねばならない。援助金の管理が杜撰で、その使い道にも深刻な誤りがある。これは単なる無駄遣いや不正の問題ではない。国の安全保障に関わる重大事だ。援助金が間違った使われ方をすれば、紛争地域をさらに不安定にし、アメリカ人の命まで危険にさらすことになる」

テロ組織とのつながりは、中東フォーラム（MEF）の調査チームが米国政府の公文書やUSAIDの記録など、公開情報を調べて確認したものだ。

下院のDOGE小委員会は、マージョリー・テイラー・グリーン議員が委員長を務めている。これは、ジェームズ・コマー議員が率いる下院監視・説明責任委員会の一部だ。このDOGE小委員会は、トランプ大統領がイーロン・マスク氏を長として設立した政府効率化省（DOGE）に対応して作られたものだ。

DOGEは現在、全ての連邦機関の支出を詳しく調査している。その最初の対象の一つがUSAIDだった。

グリーン議員は2月26日の公聴会の発表で「DOGEチームがUSAIDで発見したことは驚くべきものだが、これはほんの始まりに過ぎない」と述べている。