野村HD 脱炭素の国際枠組み撤退 独自の戦略へ転換

2025/03/13 更新: 2025/03/13

野村證券などを傘下に持つ野村ホールディングスは3月12日、国連主導の脱炭素金融枠組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」からの離脱を決定し、同団体に通知した。

これは、3月4日にNZBAから脱退した三井住友フィナンシャルグループ(FG)に続く動きである。昨年11月のアメリカ大統領選後には、ゴールドマン・サックス、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーの米大手6銀行も相次いで離脱している。

野村の脱退理由としては、ESG(環境・社会・ガバナンス)への批判の高まりや、独占禁止法違反などの法的リスクへの懸念が背景にあるとされる。特に米市場でのビジネスリスクを軽減する狙いが強い。また、証券業務が中心の野村にとって、NZBAが求める具体的な脱炭素目標の設定が難しく、各地域の政策に応じた柔軟な事業展開を優先する方針から、国際枠組みへの参加意義が薄れたと判断した。一方で、2050年までに主な投融資先の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標は維持する意向を示している。

NZBAは2021年に設立された国際的なイニシアチブで、加盟金融機関に対し、2050年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを求めている。現在、日本からは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、三井住友トラストホールディングス、農林中央金庫の4機関が加盟を継続している。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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