「外国人への放火」発言を巡る議論 岸田前首相の発信内容に質疑

2025/03/20 更新: 2025/03/20

 

2025年3月18日、衆議院法務委員会で、日本保守党の島田洋一議員が、岸田文雄前首相の過去の発言について質疑を行った。この質疑では、岸田前首相が「外国人への放火が発生している」と発信した内容の背景や影響が、議論されるとともに、島田議員から具体的な要望も提示された。

岸田首相の発言とその背景

問題となった発言は、2024年2月3日に開催された「共生社会と人権に関するシンポジウム」で、ビデオメッセージ形式の中で行われたものだ。このシンポジウムは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念である「誰一人取り残さない」を基盤に、共生社会の実現と、人権擁護をテーマに議論する場として設けられた。

岸田首相はその挨拶の中で、日本国内で、外国人やマイノリティが差別的言動や犯罪被害を受ける事例があることに触れ、これらの問題に立ち向かう姿勢を示した。特に、外国にルーツを持つ人々が、偏見によって放火や名誉毀損などの犯罪被害に遭う事例があると述べ、「次は自分が被害に遭うのではないか」と恐怖を感じながら生活する人々がいる現状を指摘した。

この発言は、人権侵害防止への強い意志を表明するものだったが、「外国人への放火」という事例が頻繁にあるわけでもなく、具体的な根拠や統計データを伴っていない状況で、情報発信がなされており、今回の議論を呼ぶ結果となった。特に、この発言は英語にも翻訳され発信されていた。

島田洋一議員による質疑と要望

島田議員は、「このような特殊な稀である事案をわざわざクローズアップして、国際発信するというのは、日本に対する偏見を助長する行為ではないか?」として、政府ウェブサイトからの問題部分の削除を求めた。

これに対し鈴木馨祐法務相は、「特定の民族や国籍の人々を、排斥する趣旨の不当な差別的言動、まして、そのような動機で行われる暴力や犯罪は、いかなる社会においても決してあってはなりません」という岸田氏のメッセージの一文を引用し、趣旨としては、「偏見を助長する」ものではないと述べた。

島田氏は、「鈴木大臣が引用した一般論的な部分は問題ないが、放火が頻繁におこっているかのような部分だけでも削除すべきだと思う。でなければ、在外邦人が、暴力を向けられる際の言い訳にも使われかねないと思う」とし、危機感を示した。

 

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
関連特集: 国政