社会問題 預金口座凍結の常態化で銀行も悲鳴

中国で法的手続きなき「預金口座凍結」が横行 市民生活に深刻な影響

2025/03/24 更新: 2025/03/24

中国では近年、「反詐欺対策」を名目にした銀行口座の凍結(保護をするために凍結する)が常態化して、これにより、法的手続きを経ずに市民の資産が大きく制限されるケースが頻発した。生活資金すら引き出せない状況に追い込まれる人々が後を絶たないと言う。

2月28日、浙江省杭州市の弁護士・朱春蓮氏は自身の被害談をネットで明かし、波紋を広げ、「突然預金口座を無通知、法的手続きもなく、凍結された。いくら掛け合っても、生活費の100元(約2千円)すら引き出せなかった」と訴えた。

この件について、朱氏は銀行に掛け合ったが、銀行側は「公安が制限を解除しない限り1円たりとも引き出せないよ」と拒絶されたと言う。

凍結理由は「潜在的詐欺被害者に対する保護」という名目だったが、朱氏には、詐欺被害の心当たりは一切なかったという。そこで朱氏は、公安に問い合わせると、「自分で法律を調べろ」と突き放され、法的根拠は示されなかったと言う。2週間後、なんとか凍結は解除されたものの、14日間にわたる突然すぎる口座凍結に、朱氏の生活は困窮したと言う。

朱氏は「警察は法の範囲を逸脱し、無差別に市民の財産凍結を行っている」と指摘し、「保護的凍結(中国語「保護性止付」)は公権力の濫用へと変質している」と警鐘を鳴らした。

凍結の常態化で銀行も悲鳴「毎日業務の半数が凍結トラブル」

朱氏によると「銀行窓口にやってくる市民の要件、100件のうち50件が口座凍結関連」だという。

市民の口座が次々と凍結され、銀行も対応に苦慮しているのが現状だ。

余談だが筆者の中国国内の銀行口座もある日、わけもなく凍結された。中国に戻ることができないため、凍結から数年経つ今も、「凍結中」のままだ。

ネット上にも、「詐欺被害に遭ったと警察に通報したら預金口座を凍結され、生活する上で多大な影響が出た」といった苦い体験談が多く寄せられていた。

なかには以下のように「警鐘を鳴らす」詐欺被害者もいる。

「お金をだまし取られて警察に通報したら、翌日には銀行口座が1か月間にわたり凍結された。飢え死にするところだった。公安局、警察署、詐欺対策センターなどあちことに問い合わせても、たらい回しにされるだけでらちがあかなかった。口座凍結が私にもたらす悪影響は、詐欺に遭うよりはるかに大きい」

「それに、警察に通報したところで、『だまし取られたお金は基本的に戻ってこないよ』と言われた。これでは警察に通報することの意味があったのだろうか」

「皆さんも、もし万が一詐欺に遭ったら、少なくとも1か月分の生活費を現金として準備してから110番通報したほうがいいよ。さもなければ、『保護』という名のもとで(私みたいに)餓死しかねない」

 



「なぜだ? 自分の預金を自由に使えないのか!」怒る中国の市民【動画あり】

「なぜだ?自分の預金を自由に使えないのか!」怒る市民。 中国で広がる「預金の引き出し制限」。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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