中国経済の急激な悪化により、あらゆる業界で生き残りをかけた過酷な競争が激化している。ネットで騒がれている自動車教習所の生徒誘致のため自作自演の事故は、まさしくそうした道徳なき生存競争の末路と言える。
4月10日、中国四川省宜賓市(ぎひん-し)にある自動車教習所で、その「(作られた)事故」は起きた。同教習所に通う生徒が運転する教習車が、高さ4~5メートルの木の上に乗っている様子を撮影した動画がSNSで拡散され、話題になった。
もちろん、車体にはしっかりと「博達駕校」と教習所の文字入り。周囲には見物人が集まり、あたかも運転ミスで、車が木の上に突っ込んだかのような演出だった。
しかし、後にこれは全て自作自演であり、車はクレーンを用いて意図的に木に吊り上げたものだったことが発覚した。
吊り上げ作業中には、複数人が木の上に登り、重大な安全リスクも伴っていたとして、後にその教習所は、現地の複数の政府部門によって「教育」され、問題の動画を削除した。
教習所の教官は、中国メディアの取材に対し、「地元では教習所が4校もあるから競争がとても激しい」と説明し、「今回の件は、ネットでアクセスを稼ぐために職員が企画したものだ」と認めている。
ネット上では「こんな騙しの汚い手を使ってまで、生徒を集めようとするなんて、狂気の沙汰」「アクセスさえ稼げれば何でもする時代か、狂ってる……」といった怒りと呆れの声が多数寄せられた。
(問題のフェイク動画)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。