中国で内需不足 北京・上海の消費が暴落

2025/04/30 更新: 2025/04/30

米中貿易戦争が日増しに激化する中、中国共産党(中共)メディアは一貫して、中国の巨大な内需市場がアメリカに対抗する切り札の一つだと宣伝してきた。しかし最新の統計によると、中国で最も裕福な二大都市である北京と上海の3月の消費が顕著に下落した。

米中関税戦争以降、中共は内需拡大と「輸出から内販への転換」を強調しているが、果たしてそれは実現可能なのか? まずはデータを見てみよう。

3月に北京市統計局が発表した最新データによると、北京の小売売上高は前年同月比で9.9%急落し、1049億元に達した。この下落幅はほぼ10%に及ぶ。

特に飲食業の収入は、昨年3月に6.5%減少した後、今年3月にもさらに3.1%減少し、北京の飲食業全体がこの2年間非常に厳しい状況にあることを示している。

台湾南華大学の孫国祥教授は、「サービス業は内需に依存しているため、消費の低迷は企業のリストラや採用減少を引き起こす可能性がある。収入の停滞や就業の困難、物価の上昇が続く中で、消費は抑制され、長期的には社会の不満を引き起こし、不安定要因が増加するだろう」と警鐘を鳴らしている。

さらに、通信機器、文具・スポーツ・オフィス用品、自動車の小売売上高も3月にいずれも減少した。日用品と化粧品の小売売上高もそれぞれ13%と10.9%減少している。

孫国祥氏は次のように述べている。
「中国政府は内需市場の潜在力を強調しているが、一線都市での消費低迷は、国内需要が公式の宣伝ほど強くないことを示している。特に北京と上海は、中国で最も消費力が高く、外資が集中する都市であり、これらの都市での消費減少は全国市場に対して明確な模範と警告を発している。同時に、これは中国経済が直面する構造的な問題が、今のところ効果的に解決されていないことを示している」

中共が提唱する「両新」政策、(大規模な設備更新と消費財の買い替えを促進する政策)で、消費補助の対象となる家電の小売売上高も6.7%減少した。これは「両新」政策が北京で効果を発揮していないことを浮き彫りにしている。

孫国祥氏は「政策が効果を発揮しない理由は、信頼感の不足、高い債務、資産の下落、構造的な人口問題に集約される。内需の不足は、中国経済の減速、財政の悪化、雇用の困難、社会リスクの上昇を引き起こす」と述べた

一方、上海の3月の商品の売り上げ総額は1280億元で、昨年3月の1491億元から大幅に14.1%減少した。

上海市民の王さんは「人が減り、多くの企業が上海から撤退し、特に民間企業は閉鎖した。かつては人で賑わい外資系企業が多い地域、特に上海、広東や深圳では人口も多かったが今は減少し、企業も多くが撤退して生き残りが難しくなっている。特に小規模な経営者や民間企業の多くが倒産した。厳しい環境の中で皆生き残れず、閉鎖に追い込まれている」と語った。

さらに、王さんは現在の上海では多くの人が失業し、仕事を見つけるのが難しいと述べた。若者たちは結婚や出産を避け、完全に「寝そべり」状態にあると指摘している。

王さんは次のように語った。
「若者にとって、仕事があってもそれが良いこととは限らない。大学を卒業した人たちが配達員になってしまう現状では、仕事を見つけるのが非常に難しい。民間企業が減少し、国有企業はコネがある人ばかりで、親戚の紹介がなければ入社できない。能力があっても、良い国有企業に入るのは非常に困難だ。したがって、お金も権力もない一般市民の子供は、良い仕事を見つけるのが非常に難しい」

王さんは、今の厳しい環境の中で、全国民が節約して生活していると語った。

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