米とウクライナ 鉱物協定に署名

2025/05/01 更新: 2025/05/01

アメリカとウクライナは4月30日、ウクライナ国内のレアアースなど鉱物資源に関する経済協力協定を締結した。両国政府関係者が明らかにした。

今回の協定では、米ウクライナ両国が共同で基金を設立し、ウクライナ国内の資源開発や関連インフラへの投資を促進することが盛り込まれている。基金は両国が対等な立場で運営し、米国は国際開発金融公社(DFC)を通じて関与する。投資の対象はウクライナ国内に限定され、当面の利益は再投資に充てられる。

ウクライナのスヴィリデンコ第一副首相は、協定の署名後「この枠組みにより、世界からの投資を呼び込み、ウクライナの経済復興と成長につなげたい」と投稿した。今回の協定は、アメリカによる長期的な支援の意思を示すものであり、ウクライナが核兵器を放棄するなど国際安全保障に貢献してきたことも評価されているという。

ベッセント米財務長官は声明で「今回の協定は、米トランプ政権が、自由で主権を持つ繁栄したウクライナの実現に向け、長期的な和平を支援する姿勢をロシアに明確に示すものだ」と述べた。さらに「ロシアの戦争に資金や物資を提供した国や人物が、今後の復興によって利益を得ることは許されない」と強調した。

今回の協定では、ウクライナ政府が資源の所有権と管理権を保持することが明記されており、国営企業の関与も引き続き認められる。

基金は新たに発行される重要鉱物やエネルギー関連の開発ライセンスから得られる収益によって運営される見込みで、両国での課税は行わない方針。

さらに、アメリカは技術移転や投資促進の面でも協力を予定しており、今後のウクライナ経済の再建や欧州とのさらなる統合に資することが期待されている。

ただし、関係者によると、協定の文書は3つに分かれており、ウクライナ側がすべてに署名する必要がある。米ホワイトハウスは現時点で協定の詳細を公表していない。

トランプ米大統領は、同協定をウクライナ支援にかかる米国の負担を一部回収する手段とも位置づけているが、ウクライナのシュミハリ首相は「本協定は過去の支援に対する補償ではない」と述べている。

軍事と外交問題を専門とするエポックタイムズの記者
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