中国 4月のPPI CPIともに下落 景気回復に暗雲

2025/05/10 更新: 2025/05/10

10日に、中国共産党(中共)国家統計局が発表した最新データによると、2025年4月の工業生産者出荷価格指数(PPI)は前年同月比で2.7%下落し、過去6か月で最大の下げ幅となった。消費者物価指数(CPI)も前年同月比で0.1%下落し、3か月連続のマイナスとなった。これにより、国内のデフレ圧力が一層深刻化した。

中国経済は、不振が続く不動産市場、高水準の家計債務、雇用の不安定さなどが投資と消費を抑制し、デフレ圧力が根強い状況が続き、また、米中貿易摩擦による外部リスクも高まった。統計局によれば、4月のPPIは前月比でも0.4%下落した。工業生産者の仕入価格も前年同月比で2.7%、前月比で0.6%の下落となった。1〜4月の平均では、出荷価格・仕入価格ともに前年同期比で2.4%の下落となった。

投資会社Pinpoint Asset Managementの社長でチーフエコノミストであるジーウェイ・チャン氏はロイターに対し、「中国は、引き続きデフレ圧力に直面している」と述べ、「輸出の減速が見込まれるため、今後数か月は、さらに厳しくなる可能性がある」との見通しを示した。

また、「仮に米中貿易交渉が進展し、関税が引き下げられたとしても、4月以前の水準に戻る可能性は低い。中国共産党(中共)政府はより積極的な財政政策を講じ、国内需要を刺激し、デフレ問題に対応する必要がある」と強調した。

CPIについては、4月の下落率(−0.1%)は3月と同じ水準で、ロイターの市場予測とも一致した。また、変動の大きい食品・燃料を除いた「コアインフレ率」は前年同月比で0.5%の上昇となり、こちらも3月と同水準だった。

中国経済は、年初から続く供給と需要の不均衡により、引き続きデフレ傾向が強まり、国内総生産(GDP)平衡指標である「GDPデフレーター」は、8四半期連続で下落中、これは1993年にこの指標が導入されて以来、最長の下落期間となった。

10日のレポートで、ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、曲天石(David Qu)氏は、「昨年第4四半期以降、消費刺激策は目立った効果を上げていないようだ」と指摘した。

アメリカによる対中関税は、中国の雇用や企業収益に深刻な影響を与えており、消費者の購買力と消費意欲を押し下げた可能性も恐れられ、これにより、製造業者やサービス業者が値下げを迫られる可能性がでている。

米中貿易戦争が、中国の輸出を圧迫する中、JDドットコムやアリババ傘下のフーマー・フレッシュなど中国大手小売企業は、輸出業者が国内市場に転換するのを支援しており、これがさらに国内価格の下押し圧力となっている。

こうした状況を受け、ゴールドマン・サックスなど複数の国際的な投資銀行は、中国の2025年GDP成長率予測を、公式目標の「5%前後」から引き下げた。ゴールドマンは4%に、UBSは3.4%にまで下方修正しており、UBSの予測は主要な投資銀行の中でも最も悲観的な見通しとなった。

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