米国の民主主義防衛基金(FDD)が5月19日に発表した報告書によれば、中国共産党(中共)は積極的に情報活動を展開しており、偽の求人サイトやソーシャルメディアを利用して解雇された元連邦職員をリクルートしている。
研究者たちは、この「情報活動」が広範囲に及び、ダミー会社やLinkedIn(リンクトイン)などのツールを駆使して、アメリカの国家安全保障や企業利益に関する機微な情報を収集していると警告している。
サイバーセキュリティメディア「Cybersecurity Dive」によると、「民主主義防衛基金」の新興脅威上級アナリスト、マックス・レッサー(Max Lesser)氏はメールで次のように述べている。「過去において、中共が現職および元政府職員をリクルートしようとした行動は、通常、機密情報にアクセスできる人物を対象にしていた。しかし、政府職員が提出した履歴書でも、米国政府内部の運用に関する貴重な非機密情報を中共に提供する可能性がある」
報告書は、このようなリクルート活動が中共が十年以上にわたり使用している戦略である可能性があると指摘している。例えば、2018年にはシンガポール人のヤン・ジュンウェイ(Jun Wei Yeo)がLinkedInと偽のコンサルティング会社を利用し、400件以上の履歴書を受け取り、アメリカ軍や他の機微部門の元連邦職員をリクルートした。
2020年、ヤン・ジュンウェイは罪を認め、14か月の禁錮刑を言い渡された。
当時のアメリカ司法省「中国行動計画」の中心人物であり、国家安全保障担当の次官補ジョン・デマーズ(John Demers)氏は声明で次のように述べた。「中国(中共)政府は、警戒心のないアメリカ人から機微な情報を得るために、一連の詐欺的手法を用いた」
続けてデマーズ氏は、「ヤン・ジュンウェイはその計画の中核であり、職業ネットワークサイトや偽のコンサルティング会社を駆使して、中国政府が関心を持つ可能性のあるアメリカ人を誘い込んだ。これは、中国政府がアメリカ社会の開放性を利用したもう一つの例だ」と述べた。
今年4月、アメリカの法執行機関は、中共がヘッドハンターや求人会社のネットワークを通じて元連邦職員を積極的にスパイ活動にリクルートしていると警告し、インターネットサービスプロバイダー1社と、アメリカ、シンガポール、日本に本拠を置くとされるヘッドハンターまたはコンサルティング会社4社から成るネットワークを明らかにした。
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