「旧氏使用の法制化を参院選公約に明記」 選択的夫婦別氏法案めぐり地方議員の会が自民・森山幹事長に要請

2025/06/07 更新: 2025/06/07

「旧氏の通称使用」の法制化を求める動きが、再び大きな注目を集めている。6日、全国の地方議員でつくる「旧姓の通称使用の法制化を求める地方議員の会」のメンバーが東京・永田町の自民党本部を訪れ、森山裕幹事長に対し、次期参院選の公約に「旧氏使用」の法制化を明記するよう申し入れた。

この要請は、現在衆議院法務委員会で審議中の野党提出の選択的夫婦別氏関連法案をめぐり、党として一致した対応を求めるものでもある。地方議員の会の代表である松田良昭神奈川県議は、要望書を手渡した後の記者会見で「賛否の議論ではなく、旧氏の通称使用を法制化することで解決策が見えてくる」と強調した。

自民党内では、選択的夫婦別氏制度の導入に対して慎重な意見も根強いが、党作業チームがまとめた「基本的考え方」を踏まえ、一致した対応を取る意向が示されたと、同席した山谷えり子参院議員が明らかにしている。森山幹事長も「党の方針としてしっかり受け止める」と応じたという。

この「旧氏の通称使用」法制化を求める運動は、昨年12月から始まり、これまでに全国の地方議員から3,200筆を超える署名が集まっている。自民党の都道府県議や政令指定都市の市議のうち、75%が法制化を支持しているとの調査結果も明らかになっている。

一方、国民世論は「夫婦同氏を維持しつつ旧氏使用の拡大を望む」とする意見が増加傾向にあるが、選択的夫婦別氏制度そのものへの賛否は依然として分かれている。

今後、自民党が参院選の公約に「旧氏使用」の法制化を盛り込むかどうか、また国会での議論がどのように進展するかが注目される。なお、現時点で自民党としての最終的な対応方針は決まっていない。

「旧氏使用」法制化を求める背景

「旧氏使用」法制化を求める動きの背景の要素は大きく2つある。第一に、結婚や離婚による改氏で生じる社会生活上の不便や不利益を解消したいという声が強い。たとえば、仕事や契約、身分証明などで旧氏を使い続けたい人が多く、すでに住民票やマイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどで旧氏の併記が進められてきた。しかし、金融機関など一部の手続きでは旧氏が使えない場合があり、法的根拠を与えることでより広く旧氏使用を認めたいという要望が高まっている。

第二に、日本の伝統的な家族観や戸籍制度を守りたいという意識がある。選択的夫婦別氏制度の導入には「親子別氏」や「家族の一体感の喪失」への懸念が根強く、夫婦・親子同氏の原則を維持しながらも、社会の変化に柔軟に対応したいという考え方が広がっている。「伝統を守りつつ不便を解消する方法」として旧氏使用の法制化が支持されていくのか、今後の動向が注目される。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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