ロサンゼルスで移民摘発めぐり抗議激化 トランプ政権が州兵2000人派遣

2025/06/09 更新: 2025/06/09

トランプ政権は、移民・関税執行局(ICE)職員と抗議者の間で激しい衝突が発生したことを受け、ロサンゼルスへの州兵派遣を命じた。

6月6日、ICE捜査官がロサンゼルス郡全域で複数の移民一斉検挙を実施した。その最中、デモ参加者は連邦当局と衝突し、ロイバル連邦ビルへの強制侵入を試みた。

ホワイトハウスの国境担当官トム・ホーマン氏は、これらの衝突に対し、州兵派遣を含む連邦政府の対応を取ると述べ、「今夜、州兵を投入する」と土曜夕方のフォックスニュースのインタビューで語った。

ピート・ヘグゼス米国防長官はソーシャルプラットフォームXに声明を投稿し、「国防総省はロサンゼルスの連邦法執行機関を支援するため、州兵を直ちに動員する。暴力が続く場合は、キャンプ・ペンドルトンの現役海兵隊員も動員される。彼らは厳戒態勢にある」と述べた。

ホーマン氏の発言直後、ホワイトハウス報道官キャロライン・レビット氏は、2,000人の州兵を動員する予定であることを確認した。「トランプ政権は、犯罪行為や暴力、特に法執行官に対する暴力を一切容認しないゼロ・トレランス政策をとっている。犯罪者は逮捕され、速やかに裁判にかけられる。最高司令官は、合衆国の法律が完全に執行されることを確実にする」と述べた。

ドナルド・トランプ大統領は、抗議活動は容認せず、今後は抗議活動でのマスク着用も許可しないと表明した。「なぜ彼らは顔を隠す必要があるのか。何かやましいことがあるのか。改めて、素晴らしい仕事をしてくれた州兵に感謝する」とトゥルース・ソーシャルに投稿した。

カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏は、州兵派遣は連邦政府による州兵の乗っ取りに等しいとソーシャルメディアで批判し、「この動きは意図的に対立をあおるものであり、緊張を高めるだけだ」と述べた。

ICE国土安全保障捜査局の広報担当ヤスミン・ピッツ・オキーフ氏は、6月6日の移民捜査で44人を逮捕したと発表した。この逮捕がすぐにデモを引き起こした。

米国連邦検事局は、カリフォルニア州サービス従業員国際組合(SEIU)デビッド・ウエルタ会長を、移民執行活動の妨害容疑で逮捕したと発表した。組合側は「ウエルタ氏は法執行活動を監視し記録するという第一修正憲法上の権利を行使していた際に逮捕され、負傷した」と声明を出した。

ロサンゼルス市長カレン・バス氏は、移民取締り作戦を非難する声明を発表し、「こうした戦術はコミュニティに恐怖を植え付け、市の安全の基本原則を揺るがすものだ。市長室は移民の権利を擁護する団体と連携している。このような行為は容認しない」と述べた。

ICE長官代理トッド・ライオンズ氏は、連邦捜査官がロサンゼルス市警に2時間以上も助けを求め続け、ようやく警官がデモ隊への対応に乗り出したと説明した。対立が激化する中、デモ参加者は警官に向かってコンクリート片を投げつけた。

ライオンズ氏は「暴力的な暴徒が連邦職員に危害を加えた場合、責任を問われる。ICEは今後も移民法を執行し、犯罪を犯した不法移民を逮捕し続ける」と述べた。

トランプ大統領はトゥルース・ソーシャルで、ニューサム知事とバス市長を批判し、「もし彼らが職務を遂行できない場合、連邦政府が介入し、暴徒と略奪者による問題を解決する」と書いた。

7日も2日連続で激しい衝突が続いた。バス市長は夕方、新たな声明でデモ参加者に暴力を控えるよう呼びかけ、「ワシントンD.C.の当局者と連絡を取り、最善の道筋を探るため法執行機関と連携している。誰もが平和的に抗議する権利を持つが、暴力と破壊行為は容認できない。責任者は責任を問われる」と述べた。