釧路市「ノーモア メガソーラー宣言」 全国から反響 「自然と調和しない太陽光発電は望まない」

2025/06/12 更新: 2025/06/12

北海道釧路市は、太陽光発電施設、いわゆるメガソーラーの設置について、市としての意思を示すため、「ノーモア メガソーラー宣言」を発表した。これは、釧路湿原をはじめとする市内の豊かな自然環境や、希少な動植物の生息地を守ることと再生可能エネルギーの調和を目的としている。鶴間秀典市長は2025年5月30日の定例市長記者懇談会で、「自然環境と調和が成されない太陽光発電施設の設置を望まない」と明言し、市の方針を明確に示した。

釧路市によると、近年、釧路湿原周辺ではメガソーラー建設が相次ぎ、環境や地域社会への影響が懸念されてきた。釧路湿原はラムサール条約にも登録されている国際的な保護湿地であり、タンチョウなど多様な生態系を支えている。しかし、条例による規制が整備されていない現状を狙い、条例制定前の駆け込みで新たな建設計画が持ち上がっているのが実情だ。

このような状況の中、自然環境の破壊を心配する多くの市民の声が市に寄せられており、これが今回の「ノーモア メガソーラー宣言」発表を強く後押しする形となった。

全国から反響

大紀元の取材に対し、釧路市・市民環境部の担当者は、今回の宣言発表後、北海道内、道外問わず、全国から反響のメッセージが十数件あったと明かした。いずれも「ノーモア メガソーラー宣言」を称賛した内容だという。

条例化目指す動き

市は2025年9月の市議会に、太陽光発電施設の設置を規制するための条例案を提出する予定である。これは、全国では福島市に続く2例目の動きとなる。現時点で「ノーモア メガソーラー宣言」自体に法的拘束力はなく、事業者に強制力を持つものではない。しかし、鶴間市長は「自然に影響を与えるような配慮のない計画はやめてほしい」と呼びかけており、今後の条例制定により、より具体的な規制が行われる見通しである。

自治体間の連携

釧路市は同様の問題を抱える自治体とも情報共有などの連携をしているという。前述の福島市や、お隣の釧路町、新潟県新発田市など、ガイドラインや条例化に向けた情報の共有を行なっている。

大紀元の取材に対し、市の担当者は、「釧路には美しく大きな自然があります。これを今後の世代に引き継ぎたい。釧路市には重要な国立公園『釧路湿原国立公園』があり、また周辺には『阿寒摩周国立公園』もあります。これから条例化にしっかり取り組み、自然を守っていきます」と力強く話した。

再生可能エネルギーの推進と自然環境の保護の両立が求められる中、釧路市の動きが今後の全国的な議論に影響を与える可能性もある。

釧路市「ノーモア メガソーラー宣言」(提供:釧路市)
▶EPOCH TIMES JAPAN編集長 ▶番組「日本の思想リーダーズ」ホスト ▶1969年東京生まれ ▶青山学院大学法学部卒 ▶総合商社日商岩井(現双日)にて情報産業等に約10年間従事。独立後紆余曲折を経て3年半ベトナムに渡る。帰国後1年間の無職期間中に日本各地を巡る。その後2015年からメディア業界へ。
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