沖縄県ワシントン事務所に関する違法な公金支出で玉城知事に3億2500万円返還求め提訴 

2025/12/12 更新: 2025/12/12

ジャーナリストで日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏は11日、沖縄県ワシントン事務所を巡る違法な公金支出があったとして、令和元年度から5年度までに支出された委託料計約3億2500万円余を沖縄県に返還させるよう求め、玉城デニー知事を被告として那覇地裁に住民訴訟を提起した。

問題とされているのは、沖縄県ワシントン事務所への委託料支出で、令和元年度から令和5年度までの支出について、第三者検証委員会および沖縄県監査委員会が公表した報告書において、事務所設立の意思決定手続きに重大な瑕疵や違法性があると指摘されていた。

原告側はこれを受け、住民監査請求を2度行ったが、監査委員会はいずれも「財務会計上の行為に該当しない」などを理由に監査を実施せず、請求を却下した。このため、原告は住民訴訟へ移行した。

訴訟の被告は沖縄県知事で、請求額は令和元年度から令和5年度までに支出された委託料の合計額に相当する3億2574万5666円である。原告は、この金額を沖縄県に返還させるよう求めている。訴状では、事務所設立における瑕疵、職員による公務員法違反、ビザ申請における虚偽の疑い、委託料という形での支払い付け替えの4点を違法性として指摘している。

原告側は、訴訟の目的として2点を挙げている。1点目は、行政モラルハザードの防止である。10年間にわたる違法支出について、誰も責任を取らず、真相も解明されていない状況を放置すれば、「違法な支出をしても後に元に戻せば問題とならない」という行政モラルが定着しかねないとして、こうした前例を許さない姿勢を示している。2点目は、地方自治の機能維持であり、公金の使途を監視すべき監査委員会が県から独立せず、指導のもとで動いている疑いがあるとし、沖縄における地方自治の崩壊を防ぐ必要があるとしている。

原告側は、この不正が二代にわたる知事の県政運営の中で形成されたカルチャーとして深く根付いていると指摘し、訴訟を通じて真相を明らかにし「特定の目的のために法律を犯してでも公金を使った行為」を許さないとの考えを示した。なお、訴訟で返還が認められた公金は沖縄県に戻されるものであり、原告個人の利益とはならないとしている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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