イスラエル イランに無人機基地を構築し 3段構えの攻撃を実行

2025/06/14 更新: 2025/06/14

イスラエルはイラン国内に無人機基地を構築し、三層攻撃で核施設や軍事拠点を同時に標的化した。モサド(イスラエル諜報特務庁)主導の作戦は中東情勢を一変させ、イランの報復や国際社会への影響も注目されている。

6月13日にイスラエルが実施したイランへの攻撃は、近代史において最も大胆な空爆の一つに位置づけられる。これはイスラエル情報機関が長年にわたり秘密裏に計画・監視・浸透を進めてきた集大成だった。

イスラエルの安全保障当局者によれば、モサドは攻撃前に武器をイラン国内へ持ち込み、イラン各地に攻撃能力を展開したうえで、内部から防衛拠点を狙う3段構えの攻撃体制を構築した。

13日未明、イスラエルは軍事作戦を開始した。これはイスラエル空軍、軍事情報局、モサド、イスラエル防衛産業が前例のない連携を果たして完成させた計画であり、長年にわたって機密情報の収集と分析を続け、イランの核・軍事資産を無力化することを目的としてきた。

外部の関心はイスラエル空軍による大規模空爆に集中しがちであるが、イスラエルはモサドがイラン国内に展開した武器も同時に作動させ、攻撃の効果を飛躍的に高めた。

モサド、イランに無人機基地を構築し3段構えの攻撃を実現

イスラエルの安全保障高官は、フォックス・デジタル・ニュースに対し、「モサドは多数の人員と連携し、イラン国内に深く浸透するエージェントによって、前例のないレベルの作戦を展開した」と語った。これらのエージェントの一部は特殊部隊として再訓練を受け、特殊任務を実行した。

この浸透活動は、最終的に三層の攻撃を現実のものとした。イスラエルの安全保障当局者は「イラン国内の地対地・地対空ミサイル施設、上級科学者、防空システムの大部分を破壊した」と明かし、「モサドのエージェントは無人機を隠し場所から取り出し、精密誘導ミサイルを多数の車両に配備した。岩場にもミサイルを設置し、イスラエル空軍と緊密に連携してこれらの発射陣地を起動させた」と説明した。

モサドの作戦には、最先端兵器を車両に偽装して標的の周辺に設置する工作も含まれていた。イラン中部では、イスラエルの誘導兵器が地対空ミサイル発射装置の近くに設置され、指令に従って正確に作動した。偽装車両は防空システムの破壊にも貢献し、さらにテヘラン近郊に設置された爆発性無人機が作動して、エスファジャバード基地の長距離ミサイル発射装置を破壊した。

これらすべての出来事はイランの情報機関の目の前で発生したが察知できなかった。

イスラエルの国防当局者は、今回の任務を「国家史上最も成功した情報・軍事統合作戦の一つ」と位置づける。「レバノン・ポケベル事件」が世界を驚かせた出来事であるとすれば、今回の作戦はさらに明確なメッセージを放っている。「イスラエルは、どの地点に対しても影響力を及ぼす能力を持つ」ということだ。

イスラエル空軍は同時に数十か所を空爆し、その中にはナタンツにある主要なウラン濃縮施設も含まれていた。ナタンツはイスラエルから1500キロ離れた位置にあり、長年にわたってイランの核開発における重要拠点とされてきた。イスラエル国防軍報道官エフィ・デフリン氏は、同施設について「地下構造であり、多層構造の遠心分離機ホールと電力インフラが集中している」と説明した。

デフリン氏によれば、ナタンツは空爆によって深刻な損害を受けた。イラン政権は長年にわたりこの施設を通じて核兵器の製造を目指してきたとし、軍用級ウラン濃縮に必要な設備も整っていたという。

イスラエル、イラン空軍指揮センターを爆破

イスラエルのシンクタンク「Mind Israel」の副総裁アヴナー・ゴロフ氏は、「ナタンツ施設への攻撃とイランの自動報復機構の破壊こそ最大の成果である」と述べた。

彼はさらに、「弾道ミサイルや飛行中の無人機といった第一段階の報復兵器を無力化したほか、イランの科学者の一部も作戦により消滅された」と語る。

イスラエルの元高官は、今回の攻撃が単なる空爆にとどまらず、イラン国内で同時進行した情報・破壊活動の一環として遂行されたと証言した。彼は、「イラン空軍の指揮センターに全指揮官が集結した瞬間を狙って消滅した」と明かす。イラン軍はこのとき抑止力を示す目的で公開演習を計画していたが、逆に自らの位置情報を明け渡す結果となった。

元高官は今回の成功について、計画に加えてリアルタイムの監視と精密攻撃能力の成果であると語る。レバノンでのヒズボラ指導部消滅作戦を想起させる構図である。イスラエルは同様に詳細な情報を駆使し、指導層を無力化してきた。

2024年9月には、ヒズボラ構成員が使用していたポケベルが同時に爆発し、多数の死傷者を出した。イスラエルのネタニヤフ首相は後にこの攻撃を承認したことを認めている。イスラエルの専門家たちは、今回の作戦がポケベル事件をはるかに上回る広範かつ戦略的な影響をもたらしたと見ている。

イスラエルの記者でアナリストのナダフ・エヤル氏も、「今回の攻撃はインフラへの打撃に重点を置いており、軍事施設への壊滅的攻撃には精密な情報の積み重ねが不可欠であった」と分析している。

アメリカCNNはイスラエル当局者から、モサドがイラン国内に無人機の発射拠点を構築し、これらが13日の攻撃で一斉に作動してテヘラン近郊のミサイル発射施設を標的にしたとの情報を得た。

イラン国営メディアは、ホセイン・サラミ革命防衛隊総司令官がイスラエルの空爆で死亡したと報じた。イスラエルはまた、イラン軍の参謀総長モハンマド・バゲリ、上級核科学者、そしてゴラムレザ・ラシッド将軍を含む高級軍幹部らが初動攻撃で死亡したと発表している。核科学者6名もまた、空爆により命を落とした。

ロイターが地域の情報筋2人から得た情報によれば、今回の攻撃で少なくともイランの高級指揮官20人が命を落としている。

張婷