米国がレアアース開発に着手 1億2千万ドル融資へ 

2025/06/18 更新: 2025/06/18

世界的なレアアース資源をめぐる競争が激化する中、アメリカは中国への依存を断ち切る方針を強めている。最近の報道によれば、トランプ政権はグリーンランドにおける重要なレアアースプロジェクトに対し、1億2千万ドルの融資を提供する計画を打ち出した。

レアアースは「産業のビタミン」と称され、ナイトビジョン、レーダーシステム、精密誘導ミサイルなど、現代の先端兵器システムにおいて不可欠な素材だ。中でもネオジムなどの元素は、超強力な永久磁石の製造に用いられており、電気自動車や風力発電機の中核を担っている。ゆえに、レアアースは先端技術の土台であると同時に、国家のエネルギー政策や安全保障にも直結する資源といえる。

現在、中国共産党(中共)は世界のレアアース加工市場の90%以上を掌握している。今年4月、中共は米中貿易摩擦の一環として、レアアースの輸出制限を発表した。その後、米中間で休戦協定が成立したものの、中共の産業支配体制に対して欧米諸国は強い警戒心を抱いている。アメリカとその同盟国は、この状況を打開するために供給網の多様化を急いでおり、グリーンランドを新たな戦略的拠点と位置づけている。

ロイター通信が6月15日に伝えたところによると、ニューヨークを本拠とする「クリティカル・メタルズ社」は、アメリカ輸出入銀行から融資意向書を受け取り、グリーンランドで進めるレアアースプロジェクトに最大1億2千万ドルを投じる構えだ。計画が最終承認に至れば、これはトランプ政権による海外鉱業分野への初の直接投資となる。

このプロジェクトの総コストは2億9千万ドルに達し、本格稼働後には年間約8万5千トンのレアアース濃縮物を生産する体制を整える予定だ。さらに、2種類の希少金属も副産物として回収可能だ。

今回の融資計画は、グリーンランドが持つ地政学的戦略価値を改めて浮かび上がらせている。トランプ大統領は今年初頭、デンマーク領であるこの自治島の買収について繰り返し関心を示したが、デンマーク側はこれをたびたび拒絶している。

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