5 月の貿易収支 6376億円の赤字 輸出入ともに減少

2025/06/18 更新: 2025/06/19

18日に、総務省が発表した貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は6376億円の赤字となった。輸出は自動車や鉄鋼などの主要品目が減少し、前年同月比1.7%の減少となり、一方、輸入は、原粗油や石炭などのエネルギー関連が落ち込み、7.7%の減少となった。

対米貿易 2か月連続の輸出減少

アメリカ向け輸出は1兆5140億円で、前年比11.1%減と2か月連続で減少した。減少品目では自動車が6.9%、鉄鋼が20.6%、鉱物性燃料が50.7%減と顕著だ。一方、輸入は1兆623億円で13.5%減(4か月連続減少)だった。

原粗油(-18.9%)や石炭(-40.3%)が大きく寄与する中、医薬品が22.4%増と唯一の明るい材料となった。結果、対米貿易収支は4517億円の赤字(-4.7%)となり、5か月ぶりの減少を記録した。

対EU貿易 自動車・電子部品が好調

対照的に、EU向け輸出は好調を維持している。自動車が14.9%、非鉄金属が75.5%、半導体など電子部品が23.9%増加し、高付加価値品が牽引した。

輸入では、増加品目が目立つ。医薬品が32.6%、自動車が63.7%、有機化合物が43.0%と大幅に増加し、これにより、EUとの貿易は、高付加価値品の輸入が増加し、経済的結びつきが強まる傾向となる。

対中国貿易 50か月連続の赤字

中国向け輸出は、1兆4418億円で、前年比8.8%減と3か月連続の減少となった。減少品目では半導体等製造装置(-21.7%、寄与度-2.6)、非鉄金属(-38.1%、寄与度-2.1)、自動車(-23.0%、寄与度-1.2)が顕著だ。

一方、輸入は2兆666億円で2.2%減(3か月ぶり減少)。増加品目として電算機類(+8.9%、寄与度+0.7)や石油製品(+105.8%、寄与度+0.5)が挙がった。

衣類・同付属品(-11.1%、寄与度-0.9)や半導体等電子部品(-16.7%、寄与度-0.3)は減少。結果、貿易収支は6249億円の赤字(+17.2%)となり、50か月連続の赤字を記録した。

全体的には、輸出はアメリカでの自動車・鉄鋼関税による需要の低迷が響くが、EUでは技術系品目が堅調である。輸入の減少は、エネルギー価格の下落や国内需要の鈍化が背景にあるとみられ、医薬品の増加はヘルスケア需要の安定を示唆する。

EU輸入の急増は、医薬品や自動車需要の高まりを示すが、中国との貿易は輸出低迷と輸入の一部増加で赤字幅が拡大した。輸出では半導体製造装置や非鉄金属の落ち込みが深刻で、輸入では石油製品の急増が注目された。地域間での需要変動が続き、貿易戦略の調整が必要となるという。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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