トランプ氏 イラン対応に構想あり 米軍行動は未決定

2025/06/19 更新: 2025/06/19

ドナルド・トランプ米大統領は6月18日、イランとの緊張が高まる中で対応策を検討しているものの、最終決定には至っていないと述べた。

トランプ氏は、シチュエーションルーム(作戦指令室)で国家安全保障チームと会談する前に記者団の質問に答え、中東で続く紛争――イランとイスラエルが6日連続で攻撃を応酬している状況――について言及した。

「どうするかについてのアイデアはある」とトランプ氏はイランへの対応策について問われた際に語った。

「私は、締め切りの1秒前に最終決定を下すのが好きだ。特に戦争の場合は状況が変わる。戦争では、一方の極から他方の極へと変わり得る」

この発言は、オーバルオフィス(大統領執務室)でイタリアのサッカーチーム、ユヴェントスと会談中に行われた。

トランプ氏はまた、イラン政権が崩壊する可能性に言及しつつ、その後の展開についても計画があると述べた。

「私はすべてに計画を持っているが、どうなるか見てみよう」と語った。

トランプ氏は、イラン政権が交渉を遅らせ、警告にもかかわらず60日以内に合意に至らなかったことについて「残念だ」と述べた。公正な合意の機会はすでに過ぎており、今や交渉はより困難になっているとした。

「今になって彼らは合意しておけばよかったと思い、会談を望んでいるが、今となっては遅い。そして彼らはホワイトハウスに来たがっている」とトランプ氏は述べた。イラン指導者たちが現在の混乱の中で国外に出てホワイトハウスで会談できるかどうかについても疑念を示した。

「彼らが来るのは簡単ではない。出国できないのだ」と語った。

数週間以内

6月13日、イスラエル軍はイランに対して大規模な空爆とドローン攻撃を実施した。イスラエル当局はこれを、テヘランによる初の核兵器を開発するのを防ぐための「先制攻撃」と説明した。この奇襲攻撃により、イランの核施設や弾道ミサイル計画の一部が損傷し、主要なイラン軍幹部や核科学者が死亡した。

これに対しイランは、弾道ミサイルやドローンでイスラエルを攻撃して報復した。応酬は6日間続き、一部はイスラエルの防空網を突破し、被害や死傷者が出ている。

イスラエル当局は長年、イランが核兵器製造を目的にウラン濃縮を進めていると主張しており、これを国家存亡の脅威とみなしている。

トランプ氏は6月18日、イランが「数週間以内」に核兵器を開発する可能性があるとの認識を示した。

米国が戦闘に関与することは望まないと改めて述べたが、イランの核兵器開発が現実となる場合には行動が必要になるかもしれないとした。

「選択を迫られることになる。彼らに核を持たせないために戦わなければならない可能性もある」

イスラエルの攻撃前、国際原子力機関(IAEA)の事務局長は6月9日、イランによる「高濃縮ウランの急速な蓄積」に深い懸念を示していた。

幸運を祈る

6月18日朝、大統領はイラン最高指導者アリ・ハメネイが米国による対イラン攻撃は「取り返しのつかない損害をもたらす」と警告し、トランプ氏の無条件降伏要求を拒否したことについても問われた。

「幸運を祈る」とトランプ氏は、サウスローン(South Lawn:ホワイトハウスの南側に広がる広大な芝生の庭園)での国旗掲揚式の際、ハメネイの発言について記者団に答えた。

イランに対する忍耐がいつ尽きるのかと問われると、「すでに尽きている。だからこそ今の行動を取っている」と述べた。

ハメネイはSNS「X」に「米大統領は我々を脅す。馬鹿げた言葉でイラン国民に降伏を求める。脅しを恐れる者にこそ脅すべきだ。イラン国民はそんな脅しには屈しない」と投稿した。

トランプ氏は以前、イランの降伏を求め、イスラエルと米国がハメネイの居場所を把握しており、空爆で殺害できると示唆していた。

イランの核開発計画

IAEAは、イランの遠心分離機製造施設2カ所がイスラエルの空爆で被害を受けたことを確認した。これは、前週のイスラエルによる攻撃でイランのナタンツ核施設が損傷したと同機関が発表した翌日のことだった。

イスラエルの奇襲攻撃以前、トランプ政権当局者はイランの核開発抑制を目的にイラン側と複数回協議を行っていた。米国は2015年のイラン核合意の当事国だったが、2018年にトランプ氏が合意から離脱し、合意は安全保障上の問題や米国の利益保護に不十分だと述べていた。

トランプ大統領はオーバルオフィスで記者団に対し、イランとの合意にフォルドゥ燃料濃縮工場の破壊は必須条件ではないと語った。

同氏は、地下深くにあるこの核施設への攻撃を決断していないとし、攻撃にはバンカーバスター爆弾が必要であり、現時点でその爆弾と運搬手段の両方を持つのは米国だけだと述べた。

一方、米国のマイク・ハッカビー駐イスラエル大使は、エルサレムの米大使館が退避便やクルーズ出発の手配を進めていると発表した。

イスラエルからの退避を希望する米国人は、国務省の「スマート・トラベラー登録プログラム」への登録が必要だとXで発表した。

Emel Akan
エポックタイムズのホワイトハウス上級特派員、トランプ政権担当記者。 バイデン前政権とトランプ第一次政権時は経済政策を担当。以前はJPモルガンの金融部門に勤務。ジョージタウン大学で経営学の修士号を取得している。
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