イスラエルとイランの衝突が激化する中、台湾人旅行者がテヘランで体験した爆発や交通混乱、現地の緊張感、そして陸路でのトルコ脱出の実態を詳しくレポートする。
イスラエルとイランの衝突が激しさを増し、7日目に突入した。多くの国々は自国民の撤退を次々と実施している。イラン国内に一時滞在していた台湾人、康承暄氏は、陸路でトルコに到達し、19日にはトルコからタイを経由して台湾へ帰国した。
康承暄氏は中央社の取材に応じ、6月15日にイラン南部の都市イスファハンを出発し、テヘランでバスを乗り換え、トルコへ向かったと説明した。首都テヘランに到着した際には、街の空気に緊張が漂い、市民が一斉に首都を離れようと殺到し、現場には推定で3千人を超える人々が集まっていたという。
彼女はバスを降りた直後、連続する爆発音を耳にした。「現地では昼間でも爆発音が聞こえることが珍しくない」と周囲の人々が語っていたと明かした。また、爆発音の一つはおよそ1キロほどの至近距離から発せられ、現場の人々は恐怖の叫び声を上げ、遠方には濃い煙が立ち上る様子が確認できた。
現地の雰囲気は明らかに緊迫していたが、康承暄氏自身は過度な恐怖を抱かず、冷静な判断を保ち続けた。「現地の人々は日常生活を続けており、報道では攻撃の対象が主に政府機関に限定されていた」と説明し、状況に冷静に対応する方針を選んだと語った。
テヘラン市内の交通は大混乱に陥り、通常なら2~3時間で移動可能な約100キロの距離に、この日は8時間近くを要した。現地のバスチケットは極度に品薄で、康承暄氏は4時間かけてイラン北西部行きのバスを確保し、バスターミナルでは推定で数千人規模の人々がひしめいていた。
彼女は16日深夜11時に陸路で国境を越えてトルコに入り、その後別のバスに乗ってイスタンブールへ向かった。全行程にはおよそ2日間を要した。イランでは元々インターネット接続が制限されているうえ、最近の衝突によって通信障害が深刻化し、一時は家族や友人と連絡が取れなくなり、大きな不安を抱いたと明かした。また、トルコ国内での移動中には軍の検問所で2度にわたり検査を受けた。
各国は情勢の悪化に対応し、自国民の退避措置を加速させている。アメリカのトランプ大統領はイラン滞在中のアメリカ国民に対し、「即座にテヘランから退避せよ」と呼びかけ、中国、ウクライナ、イタリア、ポーランドなども警告を発し、退避支援を実施している。
台湾外交部は18日に声明を発表し、15日以降に3グループ・計20人の台湾人がイスラエル国境を経由してヨルダンへ入り、さらにイランに滞在していた3人も陸路でトルコに到着したと報告した。外交部は台湾人に対し、当面はイスラエルおよびイラン地域への渡航を控えるよう再度呼びかけた。
イスラエル軍は18日夜、イランに対して複数回の空爆を実施し、標的にはテヘラン中心部とその周辺にある軍事施設が含まれていると発表した。トランプ大統領は改めてイランに「無条件降伏」を要求し、来週に重大な局面を迎える可能性を示唆した。一方、イランの最高指導者ハメネイ師はこれに強硬な態度で応じ、「イランは決して屈しない民族である」と発言し、地域の緊張をさらに高めた。
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