欧州連合がニホンウナギ国際取引規制を提案 日本は中国などから輸入7割で強く反発

2025/06/28 更新: 2025/06/28

欧州連合(EU)は6月27日、食用のニホンウナギを含む全てのウナギ種について、絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約(CITES)への掲載を提案した。これに対し、日本政府は強く反発している。

小泉進次郎農林水産大臣は27日の閣議後記者会見で、「EU農漁業理事会において、本年11月のワシントン条約締約国会議に向けて、ニホンウナギを含めたウナギ属の全ての種について、附属書Bに掲載する提案を行うことが決定されたことは承知している」と述べた。その上で、「ニホンウナギについては、国内および日中韓台湾の4か国・地域で保存管理を徹底しており、十分な資源量が確保されている。国際取引による絶滅のおそれはない」と強調した。

また、小泉大臣は「我が国は、国際取引のために輸出許可書の発給が必要となる同条約附属書Bへのウナギ属の全ての種の掲載は不要だと考えている」と述べた。日本政府はこれまでEU側に対し、累次にわたり説明し、提案の取り下げを働きかけてきたが、「今般のEUの決定は極めて遺憾である」と強い不満を示した。

今後の対応については、「本年11月の締約国会議での採択を回避すべく、関係省庁および我が国と同じ立場の国々と連携し、あらゆる機会を通じて我が国の考えに対する支持が広がるように対応していく」と述べ、国際社会での理解拡大に努める方針を示した。

EUの提案は、2025年11月から12月にウズベキスタンで開かれるワシントン条約締約国会議で審議される予定である。もし採択されれば、2027年6月から規制が始まる見通しだ。規制が実施されると、ウナギの輸出には各国の貿易当局による許可書の発行が必要となる。

日本は世界最大のウナギ消費国であり、国内供給量の約7割を中国などからの輸入に依存している。規制が実現すれば、流通量の減少や価格の上昇が懸念されている。

ワシントン条約では、規制対象となる動植物を「付属書」に掲載し、付属書2に登録された場合は商業取引は可能だが、輸出国の許可書が必要となる。今回の提案は、既に規制対象となっているヨーロッパウナギに加え、残る18種も追加する内容である。

EUは、ウナギの密漁や違法取引の防止、資源管理の強化を目的に規制強化を提案したとみられる。一方、日本側は、既存の管理体制で十分だとして、規制強化には反対の立場を崩していない。

今後、締約国会議で投票国の3分の2以上の賛成があれば提案は承認される見通しだが、可決されるかどうかは現時点で不透明である。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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