新潟県の農業・食品・水産業の実態明らかに 帝国データバンクが経営調査

2025/06/30 更新: 2025/06/30

帝国データバンク新潟支店は2025年6月26日、新潟県内の農業法人、食品製造業、漁業・水産業を対象にした経営実態調査の結果を発表した。調査は農業法人778社、食品製造業594社、漁業・水産業92社を対象に実施され、米価の上昇や食品全般の値上がりを背景に、県内の農業や関連産業の現状が明らかとなった。

まず農業法人については、全体の8割以上が年間売上高1億円未満の中小企業であり、特に米作農業ではその傾向が顕著である。米作農業は475社と全体の6割を占めており、長岡市が88社で最も多い。次いで上越市、新潟市、南魚沼市が続く。売上規模では、米作農業の9割が1億円未満で、10億円を超える企業はなかった。

食品製造業では、長岡市が89社でトップだが、新潟市は8区を合算すると172社と最多となる。業種別では清酒製造が77社と最も多く、新潟県の食品産業をけん引している。売上規模を見ると、1億円未満が約半数を占めるものの、1億円以上10億円未満の企業や10億円以上50億円未満の企業も多く、中間層の厚さが特徴である。

食品製造業のうち、原料米を使用する清酒製造、味そ製造、米菓製造の3業種110社についても分析した。長岡市と新潟市がともに20社で最多となり、業種別では清酒製造が7割を占める。売上規模では、1億円以上10億円未満の企業が最も多く、全体の約半数を占めている。

漁業・水産業については、漁業41社、水産業51社の計92社を分析した。漁業は長岡市が13社と最多で、小千谷市や南魚沼市が続く。水産業では新潟市が15社でトップとなった。業種別では内水面養殖業が最も多く、他の水産食料品製造や水産練製品製造が続く。売上規模では、漁業の8割近くが1億円未満であり、中小企業が中心となっている。一方で水産業は1億円以上10億円未満の企業や10億円以上50億円未満の企業も一定数存在し、こちらも中間層が厚い分布となっている。

今回の調査からは、米価の高騰や食品価格の上昇といった社会的背景のもと、新潟県内の農業や食品産業、漁業・水産業がそれぞれの特徴を持ちながら地域経済を支えている実態が浮き彫りとなった。特に米作農業や清酒製造など、地域の伝統産業が今なお重要な役割を果たしていることが分かる。

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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