農業倒産が過去最多 コスト高と天候不順が直撃

2026/02/14 更新: 2026/02/14

帝国データバンクの調査によれば、2025年における「農業」の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は、前年比7.9%増の82件となった。これは2000年以降で初めて80件を超え、過去最多を更新する結果だ。負債総額についても373億8700万円に達し、2011年、2022年に次ぐ過去3番目の規模となった。

倒産増加の主要因

倒産増加の背景には、肥料や飼料価格の高騰に加え、猛暑や豪雨といった天候不順による不作や品質不良が相次いだことがある。農業は他の産業と異なり、販売価格が市場相場に左右される性質が強いため、生産コストの上昇分を価格に転嫁することが困難である。物価高によるコスト増を吸収しきれず、収益が悪化したことが多くの事業者を追い詰めた。

業種別の動向:野菜作と畜産で顕著な増加

1. 野菜作農業(きのこ類含む)

野菜作農業の倒産は28件となり、業種細分類別で過去最多となった。猛暑や災害による品質悪化が販売価格の低下を招き、収益性を圧迫した。特筆すべき事例として、スマート農業の先駆けとされた「サラ」(岡山県)の民事再生法適用申請(負債約157億円)が挙げられる。同社は最新鋭の設備を導入していたものの、猛暑の影響で生産が伸び悩み、巨額の設備投資負担が重荷となった。

2. 畜産農業(酪農・肉用牛)

酪農業の倒産も10件と過去最多を更新した。そのうち7件は「ファーマーズホールディングス」(岡山県)とその関係会社が占めている。 また、肉用牛生産業は前年の3件から8件へと増加した。物価高に伴い、消費者が比較的安価な豚肉や鶏肉を選好するようになったことで牛肉の需要が低迷し、コスト増を価格転嫁できていない現状が浮き彫りとなった。

3. 米作農業

米作農業は5件となり、過去最多だった2024年の6件から1件減少したものの、依然として厳しい状況が続いている。猛暑による不作の影響は一服したが、代表者の病気や死亡を機に事業継続を断念するケースが見られた。

地域別の特徴:九州での多発

地域別では「九州」が23件と全体の28.0%を占め、突出して多い結果となった。九州では農業法人の設立が増加傾向にあり、2020年比で法人数が6.8%増加している。しかし、法人が増えた分、天候不順などの外部要因による淘汰も進んだといえる。特に施設野菜作農業では、補助金を当てにした参入が見受けられる一方、先行投資を回収できずに資金繰りに行き詰まる事例も指摘されている。

今後の展望

農業経営を取り巻く環境は厳しく、特に肉用牛などの分野では、海外への販路を持つ企業以外は淘汰が進むとの見方もある。天候リスクとコスト高という構造的な課題に対し、有効な価格転嫁策や経営体質の強化が急務となっている。

関連特集: 社会