中国の黄海進出加速 米韓の安全保障に新たな脅威

2025/07/07 更新: 2025/07/07

「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、中国共産党(中共)が最近、黄海で頻繁に活動しており、アメリカと韓国の両国に高度な警戒を引き起こしていると報じた。

今年2月、韓国の調査船が黄海中央のある不審な施設の調査に向かった際、中共の大型海警船2隻と小型艇3隻に突然阻まれた。さらに中国人船員がナイフで脅し、韓国の調査船を強制的に撤退させた。

両者は2時間にわたって対峙し、最終的に韓国側は、韓国海岸から約370キロ離れたその謎の施設に近づくことができなかった。

このような挑発行為は、決して一過性の事件ではないと報道は指摘している。中共は近年、韓国の領海や領空に繰り返し侵入しており、黄海には少なくとも13基の不審なブイを設置している。

専門家たちは、これらの施設が情報収集に使われている可能性に懸念を示し、中共がそれらを通じて軍事的な存在感を強め、米韓両国の戦略的空間を圧迫しようとしていると述べている。

報道はまた、黄海が北東アジアにおける戦略的要衝であることを分析している。もし台湾海峡で軍事衝突が発生した場合、中共は黄海を自由に出入りできるようにし、海軍やミサイル戦力を迅速に展開できるようにする必要があると指摘している。

黄海は、2万8500人の米軍兵士が駐留する韓国最大の米軍海外基地からわずか16キロしか離れていない。さらに日本にも数万人の米軍兵士が駐留しており、トランプ政権は、台湾海峡で衝突が起きた場合、在韓米軍や在日米軍が前線に緊急派遣される可能性が高いと表明している。

韓国軍のデータによると、2017年以降、中共の軍艦が韓国の領海に侵入した回数は約3倍に急増しており、2024年にはその回数が330回に達した。2023年における韓国領空への侵入回数も、前年の2倍となる130回に上った。

今年5月、中共は黄海に航行禁止区域を設定し、空母「福建」を派遣して過去に例のない規模の軍事演習を行った。これらの動きは、韓国側に深刻な懸念をもたらしている。

戦略国際問題研究所の分析によれば、中共が海洋調査用と称して設置している石油、ガスプラットフォームやブイには、実際には軍事的な機能がある可能性がある。中共はそれらを用いて、黄海海域における支配を徐々に進めている可能性があるとしている。韓国の国会議員であるユ・ヨンウォン(于龍源)氏も、中共がブイを集中的に設置しているのは、明らかに科学研究が目的ではなく、黄海の支配と軍事的影響力の拡大を狙ったものであると述べている。

関連特集: 国際