マルコ・ルビオ米国務長官は代表団を率いて、7月8~12日の日程でマレーシア・クアラルンプールを訪問し、一連のハイレベル会議に出席している。これは彼が就任して以来初めてのアジア訪問であり、ワシントンがインド太平洋地域に再び焦点を当て、同盟国に安定のシグナルを発していることを強調している。
米国務省の声明によると、ルビオ長官は数日にわたる日程で「東南アジア諸国連合(ASEAN)・アメリカ閣僚級会合」「東アジアサミット外相会議」「ASEAN地域フォーラム外相会議」など、複数の多国間外交会議に出席し、マレーシアの政府高官とも二国間会談を行う予定。米国務省のアリソン・M・フッカー米国務次官(政治担当)も同行する。
10日(木)には、ルビオ長官が東南アジア諸国の外相と会談し、アメリカとASEANの包括的戦略的パートナーシップを強化する。また、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相とも会談し、両国の協力を深め、複雑化する地域の安全保障や経済問題への対応を図る。
注目すべきは、同日夜にルビオ長官がロシアのラブロフ外相、日本の岩屋毅外相と相次いで会談する予定であり、この訪問の重要性が際立つ。
米国の追加関税とASEAN諸国の懸念
ルビオ長官の訪問と同時に、トランプ大統領は8月1日からASEAN諸国を含む20か国に対して新たな関税を課すと発表し、多くの国々に懸念が広がっている。
発表された措置によると、影響を受けるASEAN諸国とその関税率は以下の通りだ。
マレーシア(25%)
インドネシア(32%)
カンボジア(36%)
タイ(36%)
ラオス(40%)
ミャンマー(40%)
ブルネイ(25%)
フィリピン(20%)
一部の国では4月2日に初めて発表された税率より若干引き下げられたものの、多くは高水準を維持しており、経済的不確実性がさらに高まっている。ASEAN以外でも、日本と韓国というアメリカの主要な東アジア同盟国にも25%の関税が課される予定。
ASEAN加盟国は貿易摩擦の激化に広く懸念を示しており、ロイターが入手したASEAN外相の共同声明案では「関税措置は逆効果であり、世界経済の分断を助長する可能性がある」と強調している。この表現は、今年5月にASEAN首脳が発表した声明と同様のトーンだ。
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は7月9日のASEAN外相会議で「世界貿易は武器化されている」と述べ、ルビオ長官との会談でこの問題を提起する意向を示した。
ルビオ長官と日露外相の会談
米国務省が発表したスケジュールによると、ルビオ長官は現地時間10日午後6時にロシアのラブロフ外相と会談する。
この会談は注目を集めている。現在もロシアによるウクライナ侵攻が続いており、トランプ大統領はロシア・ウクライナ間の和平を早期に実現したい意向を示してきたが、成果が出ていない状況だ。アメリカは引き続きウクライナに防衛兵器を供与し、自衛能力の確保を支援する方針である。
同時に、ロシアは中国との戦略的協力を強化しており、今回のラブロフ外相との短時間の会談は、ASEANサミット期間中の地政学的な動きとして注目されている。
また、同日午後6時時45分ごろには、日本の岩屋毅外相およびフィリピンのラサロ外相とも会談する予定だ。
中国の王毅外相もASEAN会議に出席するが、ルビオ長官と王毅外相の会談が行われるかどうかは、現時点で米国務省から発表されていない。
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