国際的人権団体の幹部 中国共産党による越境弾圧の体験を語る

2025/07/21 更新: 2025/07/21

先日、中国人権観察(China Human Rights Watch)の事務局長の劉興聯氏が、大紀元の取材に対し、自身が中国共産党(中共)から受けた越境弾圧の体験について語った。劉氏は、中共による神韻(Shen Yun)芸術団と法輪功に対する越境的な弾圧は、臓器強制摘出などの悪行が暴かれることを防ぐためであり、低コストで世界に恐怖を与える効果を狙っていると考えている。

現在カナダ在住の劉興聯氏は、人権擁護者であり、「中国人権観察」と「玫瑰中国(ローズチャイナ)」の事務局長を務めており、これらの人権保護を目的とした2つの団体を中国で立ち上げた人物だ。

劉氏は人権を擁護する声を上げたため、2015年6月19日、国家政権の転覆を扇動したとされ、湖北省武漢市の警察により拉致。武漢第二拘置所に不当に拘束された。拘束中は毎日のように尋問を受け、精神的拷問に加え、名前不明の薬の服用を強制された。その結果、腹痛、嘔吐、半身麻痺のような症状が現れ、その後、病状が悪化し、劉氏はほぼ寝たきりとなった。中共はようやく1年間の保釈治療を認めた。そして2016年4月11日、健康上の理由により釈放された。

劉氏はインタビューの中で、自身がタイと台湾へ逃亡する過程で、中国当局のスパイによる追跡、嫌がらせ、誣告(事実無根の告発)といったさまざまな越境弾圧を受けてきたことを振り返っている。

劉氏は、タイ在住中に、身近に見知らぬ人間が近づいてくることに気付いたと語った。劉氏はかつてチェンマイの「光明中学」で教師をしていたが、ある日、「避難民」と名乗る男性が強引に学校に住みつこうとした。学校は当初これを拒否したが、彼は強引に居座った。

何度か会話を重ねた結果、劉氏はその男の正体が中国国内のある派出所の職員であることを突き止めた。その人物は学校内で劉氏の背景を探り始めたため、劉氏は非常に警戒感を抱き、すぐにタイを離れて台湾へ逃れた。

台湾に到着後、ようやく一息つけると思ったが、劉氏は再びさまざまな誣告や中傷に直面した。劉氏は国連発行の難民証明書を所持しており、合法的に台湾に入国していたが、一部の人物が彼を「偽の難民」「身分詐称者」だとする噂を流した。

中でも「柳」という姓の女性は、劉氏と面識がないにもかかわらず、彼の難民資格を否定する告発文を台湾当局に提出した。しかし、台湾の移民署署長が直々に劉氏に「彼女の告発は信じていない」と伝え、安心させた。

劉氏は、「タイのような場所でこのようなスパイ活動は珍しくない」と語り、中共のタイへの影響力は深刻だと述べた。彼が滞在した学校はタイによって設立され、教材も台湾から提供されたものだったが、中共はその学校に影響を及ぼそうとし、さらには中共の国旗を掲げることを求めたという要求も校長により拒否されたという。

さらに、法輪功の真実を現地で発信している学習者たちは、中共のスパイ(偽装難民)によってタイ政府に告発され、多くの学習者が長期にわたって違法に拘束された。こうした中共の浸透と越境弾圧により、多くの中国系流亡者たちはタイで「一日たりとも安心できない」ような生活を送っている。

劉氏は、中共による海外でのサイバー攻撃が決して途絶えていないと語った。彼が設立した「玫瑰中国」のウェブサイトはハッキングにより破壊され、さらにスパイウェアやハッカーによる攻撃も頻発している。

カナダに移住してからは、しばらくの間、自身の携帯電話がハッキングされ、多くの場合に通信不能となり、外部と連絡が取れない状態に陥った。しかし、自身が暮らす高齢者施設の他の住民にはそのような異常がなかったため、これは明らかに「標的を絞った技術的妨害」であり、単なる故障ではないと主張している。

そして彼は最終的に3台のスマートフォンを廃棄せざるを得ず、「もはや使えないので、捨てるしかなかった」と述べた。

中共は神韻による演出活動にも爆弾テロの脅迫、劇場への圧力、世論操作などを通じて国際的に弾圧を加えている。劉氏はこうした行動が「最もコストの低いテロ手段」であり、人々に「沈黙を強要し、言葉を発することすら恐れさせる」ための行為だと述べた。

劉氏によれば、脅迫、誘拐して中国へ連れ戻す試み、民主国家への浸透などが自由社会において重大な警戒を引き起こしたという。たとえば米国の神韻芸術団が台湾で巡回公演を行った際、複数の政府機関が「上演を中止しなければ銃撃または爆破する」といった電子脅迫メールを受け取った。警察が追跡した結果、これらの脅迫メールは中国・陝西省西安市にある「華為(ファーウェイ)研究所」周辺から発信されていたことがわかった。

劉氏は、中共のこのような越境弾圧について「極度の怒りを感じる」と述べ、それは「全人類に対する宣戦布告と何ら変わらない」と断じている。

劉氏は神韻の公演を観賞し、「非常に素晴らしい演出」であり、中共の卑劣な行為を事実に基づいて暴いていると賞賛しました。特に、法輪功学習者や反体制派に対する臓器摘出の告発は、人道に反しており「まったく人間らしさがない」と批判し、この犯罪行為は江沢民政権下で特に深刻だったと指摘した。

劉氏は、先日発表されたG7(先進7か国)による「越境弾圧を止めるための共同声明」について、それが「中共への警告であり、今後の行動を国際圧力の下で抑制させる効果がある」と評価した。

毎年7月20日は、法輪功学習者による迫害反対を記念する重要な日となっている。劉氏は、「迫害を受けているすべての人々が、自らの声をあげるべきだ」と強く訴え、法輪功が長年「真・善・忍」という理念を貫き、平和的手段で権利を守ってきたことを高く評価した。

また、「迫害されているすべての人が、自らの権利を主張し、抵抗すべき」と述べ、中共による法輪功への弾圧は「中共が人民の目覚めを恐れている証拠」であるとも語った。

最後に、劉氏は「中共の越境弾圧に直面しながらも、人々がもっと強くなり、自分なりの方法で抗争を続けていってほしい」と希望を示した。

梁耀
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