トランプ氏 日本 インドネシア フィリピンと貿易協定を相次いで締結

2025/07/23 更新: 2025/07/23

トランプ米大統領は、自身のトゥルース・ソーシャルで、日本、インドネシア、フィリピンとの新たな貿易協定を締結したと発表した。8月1日の通商交渉の期限が迫るなか、アメリカは主要な貿易相手国との交渉を加速させており、日本との合意はこれまでで最大規模とされている。

トランプ氏は「日本との間で非常に大きな取引がまとまった。おそらく史上最大の合意だ」と投稿。今回の合意の一環として、日本は自動車やトラック、コメなどの農産物、そして「その他の品目」について、アメリカとの貿易を開放する。また、アメリカに対して15%の相互関税を支払うことになる。

さらにトランプ氏は、日本がアメリカに5500億ドルを投資し、その投資によって得られる利益の90%をアメリカ側が受け取ることになると述べた。

「この合意によって数十万の雇用が生まれることになる。前例のない歴史的な協定だ」

「今はアメリカにとって極めて重要な時期だ。特に、日本との良好な関係が今後も続いていくことに期待している」

米・インドネシア間の貿易協定 関税撤廃や鉱物供給で合意

同日、トランプ氏はインドネシアとの貿易協定の詳細も明らかにした。これは先週発表した内容を踏まえたもので、インドネシアはアメリカからの輸出品の99%に対して関税を撤廃し、非関税障壁も取り除く。

一方で、インドネシアからアメリカへの輸出品には、従来の32%から引き下げられた19%の関税が適用される。また、インドネシアはアメリカに対して重要鉱物資源を供給し、農産物、エネルギー、ボーイング製の航空機などを購入する。

「この合意は、自動車産業、テクノロジー企業、労働者、農家、牧場経営者、製造業者にとって大きな勝利だ」とトランプ大統領は語った。

この発表の数時間前、トランプ氏はフィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領をホワイトハウスに迎え、貿易と軍事の両面での協力に関する合意も発表している。

インドネシアとの協定では、輸入規制や許可制度の撤廃、知的財産権をめぐる長年の課題の解決に加え、今後はデジタル貿易、サービス、投資に関するさらなる合意の取りまとめを予定している。

さらに、インドネシアは強制労働で生産された製品の輸入禁止を導入し、労働者の団結権や団体交渉権を制限していた規則を撤廃することにも合意した。

ホワイトハウスによると、この協定によるアメリカへの経済効果はおよそ500億ドルに達する見通しだ。

加えて、インドネシアはアメリカ企業に対する現地調達の義務を免除し、アメリカの自動車安全基準を受け入れる。また、出荷前の検査制度も廃止する。

協定には、中国による「迂回輸出(トランスシップメント)」を防止する条項も含まれている。高い関税が適用されている国からの部品を多く使った製品には、最大40%の関税が課されることになる。

今回の合意内容の多くは、アメリカ通商代表部が3月に発表した外国貿易障壁報告書で指摘した問題点の解消につながるとされる。

アメリカ政府高官は「この協定は貿易のバランスを改善し、アメリカ企業のインドネシア市場へのアクセスの拡大を目的としている」と説明した。

昨年、アメリカの対インドネシア財貨貿易赤字は179億ドルに達し、前年から5%以上増加している。

フィリピンとも貿易協定で最終合意へ 関税撤廃と軍事協力で一致

トランプ氏は7月22日、ホワイトハウスでフィリピンのマルコス大統領と会談し、フィリピンとの貿易協定に関して最終調整を行った。

協定では、フィリピンがアメリカ製品に対する関税をゼロにし、自国市場を全面的に開放する。一方、フィリピンからアメリカへの輸出品には19%の関税が課される見通しで、今月初めに示された20%案よりわずかに引き下げられた。

トランプ氏は「大統領と会談できたことは大きな光栄だった。彼は国内で広く尊敬されており、交渉にも非常に長けている。フィリピン国民に心から敬意を表する」と述べた。

インドネシアおよびフィリピンとの協定は、トランプ大統領が8月1日の交渉期限を前に、多数の国々に送付した通告をもとに進めてきた一連の交渉の一環である。

次の焦点は中国 交渉期限の延長も視野に

ベッセント財務長官は7月22日、中国との貿易交渉について、8月12日の交渉期限が延長される可能性が高いとの見解を示した。

「中国との貿易関係は現在、非常に良好な水準にある。両国の関係は新たな段階に入り、建設的な対話が可能になった」とベッセント氏はFOXビジネスのインタビューで述べた。

また、イランとロシア産の原油に対する制裁問題や、中国国内の過剰生産の抑制、消費主導型経済への転換支援についても議題に含まれるという。

スウェーデンのクリステション首相はXで、次回の米中貿易交渉をスウェーデンが主催することを明らかにしている。

一方、アメリカのラトニック商務長官は7月20日放送のCBS番組「フェイス・ザ・ネイション」に出演し、中南米、カリブ諸国、アフリカなどの中小規模経済国に対して、アメリカが一律10%の関税を課す方針を示した。

「大きな経済圏の国々は、市場を開放するか、アメリカに公正な関税を支払うかのいずれかを選ばなければならない」と語り、8月1日が最終期限であることを強調した。

 

アンドリュー・モランは10年以上にわたり、ビジネス、経済、金融について執筆。「The War on Cash.」の著者。
エポックタイムズ記者。主に議会に関する報道を担当。