台湾の頼清徳(らいせいとく)総統が8月に予定していたとされる中南米外遊、および米国ニューヨークの経由計画について、台湾当局は7月29日、外遊自体の計画が現時点で「白紙」であると発表した。これは、英紙フィナンシャル・タイムズ電子版が28日に「トランプ米政権が頼総統のニューヨーク立ち寄りを認めなかった」と報じたことを受けての対応である。
外交部(外務省)の蕭光偉報道官は同日の記者会見で、「総統が近く海外訪問を予定していた事実はなく、延期や取り消し、米国による不同意といったこともない」と強調した。
また「現時点で外遊案自体が白紙である」とし、その理由として「台風災害の復旧作業や米国との通商交渉、そして関連する国際情勢の変化」を挙げた。
この件を巡っては、米国政府が台湾総統の米国経由外遊への許可に慎重姿勢を示しているとの観測も一部報道で伝えられている。ストームメディアやブルームバーグによると、米中貿易交渉の進展や米中首脳会談の調整、また北京側への配慮が背景にあるとの指摘もあるが、アメリカ側から公式な発表や個別の回答は現時点で出ていない。
台湾総統府の郭雅慧報道官も28日、「正式に決定した外遊計画があれば、その時点で公表する」と前置きしたうえで、「現在は南部を中心とした水害復旧や米台間の協議があり、頼総統には外遊予定はない」と説明した。
現段階で、台湾政府は外遊計画発表や変更、米国側による拒否の事実をいずれも否定しており、報道された「米政権による許可せず」との見方についても明確な根拠が示されていない。現地の外交関係筋も、「現段階で計画は決まっていない」という認識で一致している。
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