中国 警察も無力!道徳崩壊の兆しと再生への鍵

事故現場で「火事場泥棒」 横転したトラックから冷凍肉10トンが略奪される 中国【動画あり】

2025/08/01 更新: 2025/08/01

山東省で発生したトラック横転事故をきっかけに、冷凍食品10トン以上が村民によって略奪された。社員の制止も警察の警告も無視され、ネットには「これは人間のすることか」と非難が殺到した。いま中国では、「人としての道」が完全に見失われつつある。

「火事場泥棒」 

7月24日午後11時頃、山東省の高速道路で冷凍食品を積んだ物流トラックが横転し、高架橋から転落した。豚足や鶏もも肉、チョコレートなどの積み荷が周囲に広く散乱し、運転手は負傷して病院に搬送され、物流会社は直ちに車両を手配し、5〜6人の社員を現場に配置して荷物を見張らせたが、交通警察の現場検証が終わるまで、荷物の搬出は認められなかった。

その間、作業員たちは小型の運搬車を使い、道路から数百メートル離れた場所に散乱した荷物を一往復ずつ回収していた。しかし、その作業中に近隣の村民が徐々に集まり始め、午後2時頃には小規模な持ち去りが発生し、夕方6時頃には、数十人規模の集団が押しかけ、完全に制御不能な大規模略奪へと発展した。

現場にいた社員の胡(フー)さんは、「略奪していたのは主に高齢者だが、中年や若者もいた。編み袋を持ち、電動三輪車でやって来ては荷物を運び出した。最初は破損品だったが、後には未開封の箱ごと持ち去っていった」と証言し、社員らは必死に制止を試みたが、「東を追えば西から、南を追えば北から」といった具合に略奪は続き、なすすべがなかった。

通報を受けて現場に到着した警察官2人は、一時的に制止を試み、唐辛子スプレーで警告する場面もあったが、村民たちは一切動じなかった。最終的に警察も何もせず立ち尽くすばかりとなり、「警察が諦めた」ことを確認した村民たちは、より堂々と略奪を続けた。

その様子を収めた現場映像は、SNSにも拡散されている。「盗ったモノを返せ! 自分のじゃないだろ!」と叫ぶ社員に対し、「いや、みんなやってるから…」と開き直る村民の声が収録されており、見る者に強烈な衝撃を与えた。

物流会社によると、被害にあった冷凍食品は約10トン、損害は40万元(約825万円)を超えるという。

 

(現場の様子)

 

7月28日、現地警察は、この略奪事件に数十人の村民が関与していたことを認めたが、「現在も調査中」として、いまだに逮捕者は一人も出ていない。

この警察の対応に対し、ネット上では、強い反発が巻き起こっている。「止められないなら、せめて録画はできただろう?  顔認証技術がこれほど発達している今、あとから一人ずつ特定して責任を追及するのは簡単なはず」「むしろその方が抑止力になる」といった声に加え、「なぜやらないのか。略奪されたのが民間企業の財産だから放置されたのだ。これが地元幹部の関係者の所有物だったら、百人でも即座に一斉検挙されていただろう」といった、公権力の「使い分け」に対する批判も噴出した。

SNS上ではさらに、「孔孟の地で、これほど恥知らずなことが起きるとは、まさに道徳の崩壊だ」「孔孟の教えは、もはや風と共に消え去った」といった嘆きの声が相次いだ。また、「今では、どの省を調べても同様の略奪事件がいくらでも見つかる」といった指摘もある

実際、今回の事件が発生した山東省曲阜(きょくふ)は、儒教の創始者・孔子と、その後継者・孟子の出身地として知られており、紀元前の思想家である彼らは、「礼」「義」「廉恥」を重んじ、道徳と秩序ある社会を説いた。しかしその精神は、現代中国ではほとんど失われた。

 

孔子の彫刻。参考写真(Photo credit should read LIU JIN/AFP via Getty Images)

 

中国ではこうした「民衆による略奪」が頻発し、江蘇省では結婚式場の設備が一夜にして盗まれ、河南省の音楽フェスでは寝袋やテント、キャンピングカーまでもが消えた。2020年には江蘇省でトラックが横転し、100人以上の村民が積み荷の豚肉を奪い合う「豚肉争奪戦」が発生し、損失は約28万元(約586万円)にのぼった。清掃員までもが略奪に加わる始末で、運転手の叫びも空しくかき消されたという。

 

市民による商店品物の略奪現場、2024年8月22日午後、中国広東省潮州市(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

 

これらの事件に共通しているのは、盗みに対する罪悪感の欠如、そして警察の無力さである。SNS上では「これが共産党支配下で崩壊した民度の現実だ」「モラルの崩壊が社会全体を蝕んでいる」といったコメントが殺到し、中には、「国有財産であれば即逮捕されるが、民間企業の被害は見て見ぬふり」と、公権力の選別的な対応を皮肉る声も目立った。

人の不幸につけ込み、利益をむさぼる――それは単なる窃盗ではなく、社会の信頼と秩序を根底から揺るがす行為である。こうしたモラルの崩壊の背景にあるのは、決して一時的な貧しさや混乱ではない。中国共産党がこの70年で破壊してきたのは、経済ではなく民族の魂そのものだ。「恥」を知る心、「仁義」を重んじる倫理、「信」を守る誠実さ──それらは共産主義の名のもとに切り捨てられてきた。

いま中国に本当に求められているのは、失われた道徳と伝統を取り戻し、「人としての道」をもう一度歩み直すことではないだろうか。

 



頻発する集団略奪 その元凶は中国共産党という「悪のお手本」=中国 河南

近頃、中国の河南省で、民衆による集団略奪事件が頻発している。ただし、これは決して河南省に限定することはできず、中国全土で起こり得ることだ。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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