トランプ・プーチン首脳会談 5大注目点と今後の展開

2025/08/16 更新: 2025/08/17

8月15日、アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は約3時間にわたり会談を実施した。この会談は、アメリカ主導のロシア・ウクライナ和平交渉再開に向けた重要な節目として注目を集めた。

トランプ大統領の交渉チームには国務長官マルコ・ルビオ氏と大統領中東担当特使スティーブ・ウィトコフ氏が加わった。プーチン大統領の側には外相セルゲイ・ラブロフ氏と大統領外交政策顧問ユーリ・ウシャコフ氏が同行した。

会談後の共同記者会見で、両首脳は会談を「生産的だった」と述べたが、具体的な合意には至らなかった。トランプ大統領は今後、ウクライナのゼレンスキー大統領やNATOの指導者らと会談し、さらなる協議を進めて戦争終結を目指す方針を示した。

以下に「トランプ・プーチン会談」の五大要点をまとめる。

トランプ:合意には至らず

両首脳は会談後の記者会見で「進展があった」と述べたが、詳細は語らず、記者の質問にも応じなかった。

トランプ大統領は「非常に少ない問題が残っている」とし、その多くは重要でないが「1つの問題が最も重大かもしれない」と発言した。ただし内容は明かさなかった。

彼はこう述べた。「合意が成立した時にのみ、合意が存在する」

さらに補足した。「まだ合意には達していないが、達成できる大きな可能性はある」

両首脳は停戦やウクライナへの安全保障、アメリカによるロシアおよび同盟国への追加制裁といった核心的議題については触れなかった。

合意に至らない理由について質問された際、トランプ大統領は「この件を公にしたくない」と述べた。
しかし、トランプ大統領はフォックスニュースのショーン・ハニティー氏に「しかし、きっと誰かが暴露するだろう。彼らはどうにかして突き止めるに違いない」と語った。

また、トランプ大統領はフォックスニュースに対し、ロシア産石油の購入国(中国共産党など)にすぐ二次関税を課すつもりはないが、後に検討する可能性があると答えた。

「おそらく2~3週間後に再検討するだろう」と彼は述べた。

インドはロシア産石油の主要購入国の一つであるが、最近アメリカ政府は最大50%の輸入関税を課した。

レッドカーペットと戦闘機のフライオーバー

会談に先立ち、両首脳はそれぞれの大統領専用機から降り立ち、基地滑走路に敷かれた赤いカーペット上で合流した。

両者がレッドカーペット上で記念撮影に向かうと、米空軍のB-2ステルス爆撃機1機とF-35ステルス戦闘機4機が低空飛行で通過した。

両首脳は「アラスカ2025」と記された演台の前で記者団に撮影され、多くの質問が浴びせられた。

記者が叫んだ。「プーチン大統領! あなたは民間人の殺害をやめられるか?」

プーチン氏は耳を指差し、肩をすくめて聞こえないふりをした。

その後、両首脳はアメリカ大統領専用車の重装甲リムジン「ビースト」に乗り込み、会談会場に向かった。

今回の訪問はプーチン氏にとって2015年のニューヨーク国連総会以来の訪米であり、2020年のドイツ訪問以来初めてのNATO加盟国訪問でもあった。

2025年8月15日、トランプ大統領はアンカレッジのエルメンドルフ・リチャードソン共同基地でプーチン大統領を迎えた(Andrew Harnik/Getty Images)
2025年8月15日、トランプ大統領がエルメンドルフ・リチャードソン共同基地に到着し、滑走路でプーチン大統領を迎えた際、上空の中央にはB-2爆撃機が配置され、4機のF-35戦闘機と共に飛行していた(ANDREW CABALLERO-REYNOLDS/AFP)
2025年8月15日、アメリカ合衆国大統領トランプ氏は、アラスカ州アンカレッジのエルメンドルフ・リチャードソン共同基地に到着したロシア大統領プーチン氏を出迎えた。このとき、赤い絨毯の両側にはF-22「ラプター」戦闘機4機が並んでいた。(Andrew Harnik/Getty Images)
2025年8月15日、アラスカ州アンカレッジにおいて、トランプ大統領とプーチン大統領がエルメンドルフ・リチャードソン共同軍事基地の一室で正式に会談した。両首脳の横にはそれぞれの代表団と通訳が座り、背景には「平和を追求する」と「アラスカ2025」の文字が印刷されていた(Andrew Harnik/Getty Images)
2025年8月15日、アラスカ州アンカレッジで、トランプ大統領とプーチン大統領はエルメンドルフ・リチャードソン共同基地において米ロ首脳会議に臨み、その後に共同記者会見を開いた(Drew Angerer/AFP via Getty Images)

プーチン:安全保障問題を強調

プーチン氏は会談後の記者会見で、ロシアがウクライナ紛争の「主要な根本原因の除去」と「安全保障上の根本的脅威の解決」を追求すると強調した。

これらの表現は、ウクライナのNATO加盟拒否を意味し、彼やロシア国営メディアが繰り返し用いてきたものである。

2022年の全面侵攻直前、プーチン氏はウクライナのNATO加盟の可能性を「ロシアの安全への直接的脅威」と演説で述べていた。

ウクライナはNATO加盟に関心を示したことはあったが、正式候補として承認されたことはなかった。

プーチン氏はさらに、NATOの東欧拡大をロシアの主権に対する脅威とみなし、次のように語った。「ロシアの合理的懸念はすべて考慮されるべきである。欧州と世界全体の安全保障の分野で、公平なバランスを回復しなければならない」

さらに次のように述べた。「我々はトランプ大統領の見解に同意する。彼が今日述べたように、ウクライナの安全も確保されるべきである」

プーチン:米国との関係改善を希望

プーチン氏は、近年ロシアが失ったビジネスや、トランプ氏の復帰後に見られる米露間貿易の緩やかな成長について語り、トランプ氏を「友好的で効率的かつ信頼できる交渉相手」と評価した。

「本日の合意はウクライナ問題解決の出発点となり、米露の実務的関係を回復する助けになることを期待する」と述べた。

同時に、米露関係が「冷戦以来の最低点」にあると認めつつ、トランプ氏の努力やアラスカへの招待を「非常に友好的だ」と語った。

トランプ:ウクライナとNATOに詳細を報告

両首脳は相違点を明かさなかったが、トランプ大統領は「平和プロセスの方向性はウクライナと欧州諸国が決定する」と述べた。

「私はすぐに電話をかけ、彼らに詳細を伝えるつもりだ」と発言した。

時差の影響もあり、キーウや欧州諸国の指導者は会談に関するコメントをまだ出していない。

欧州の一部指導者は和平努力を評価しつつ、プーチン氏の発言には慎重な姿勢を見せた。

チェコの外相リパフスキーはSNS「X」にこう投稿した。「私はトランプ大統領が戦争を止めようとする努力を称賛する。彼は欧州代表者と常に議論しており、会談結果を欧州に報告してくれるだろう。だがプーチンは虚構を繰り返した。問題はロシアの帝国主義であり、自由を求めるウクライナ人の意思である」

トランプ大統領はフォックスニュースで、次のステップはゼレンスキー氏の参加意向に依存していると述べ、さらに欧州の指導者たちも「少しは参加すべきだ」と語った。

フォックスニュースの取材が終わった後、司会のハニティー氏がウクライナへの助言を求めると、トランプ大統領は短く答えた。「合意を結ぶことだ」

エポックタイムズ特派員。専門は安全保障と軍事。ノリッジ大学で軍事史の修士号を取得。
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