9月3日に行なわれる「抗日戦争勝利80年」の軍事パレードを前に、北京の天安門周辺では異例の封鎖が続いている。ここ最近の週末はリハーサルのたびに道路や商店が閉鎖され、住民の生活は大きく制約を受けている。
当局は「市民に迷惑をかけない」と説明するが、市民からは「どの口が言うんだ? こっちはとんでもなく迷惑してる」と冷笑が広がり、「当局は何を恐れているのか」との疑問も噴出している。
8月20日夜、北京市公安当局は23日から大規模な交通規制を実施すると発表した。これまでもそういった規制のたびに天安門周辺は深刻な渋滞に見舞われ、商店は休業を強いられ、ホテルや住宅団地も封鎖されてきた。住民は外出時に身分証の提示を求められ、宅配や外食も止められる。一部地域では「警察だらけで外出を禁止された」「家の近くが警備に囲まれ、家に帰れず、深夜まで封鎖線外で待たされた」といった怒りの声が相次いでいる。
さらに8月20日未明、中国全土で大規模なネット障害が発生。海外研究機関は、暗号通信に使われるポート443が一斉に遮断された。ポート443はHTTPSの標準ポートでオンラインバンキングやショッピングサイトなど、カギ付きの安全な通信に必ず使われる回線だ。
その結果SNS、メールがすべてつながらなくなり、中国と世界の通信が1時間以上途絶した。海外在住の中国人エンジニアは「重大な政治イベント時に即座にネットを切断し、市民の連携を防ぐための訓練だ」と指摘している。
結局のところ、閲兵式を前に毎回繰り返されるのは道路封鎖や生活規制、そしてネット遮断である。国外SNSでは「毎回そうだが、最強国家を名乗りながら当局は何をビビっている?」と皮肉が飛び交い、国内、特に北京では張りつめた空気が日ごとに濃くなっている。

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