トランプ大統領が中国に警告 磁石供給とレアアース規制で200%関税も

2025/08/26 更新: 2025/08/26

アメリカのトランプ大統領は中国による磁石供給停止に対し、最大200%の関税も辞さない姿勢を表明した。

8月25日、アメリカのホワイトハウスでトランプ大統領と韓国の李在明大統領が首脳会談を行った。トランプ大統領はオーバルオフィスで報道陣に対して発言し、中国が「世界の磁石市場を完全に支配した」と強調した。さらに「我々アメリカに磁石の供給が途絶えれば、200%の関税かそれに類する厳しい経済制裁を課す必要がある」と警告した。

トランプ大統領は「我々の持つ交渉上の切り札は中国のそれより遥かに強力だ。しかし、その切り札を使えば中国に壊滅的な打撃を与えることになる。現時点では、それを使う意思はない」と述べ、交渉での余裕と強さを誇示した。この「切り札」が具体的に何を意味するのかは明らかでないが、アメリカの経済力や政治的影響力である可能性を指摘している。

背景には、今年春に中国政府が稀土類(レアアース)と磁石に対する厳格な輸出制限を打ち出した事実がある。アメリカの関税引き上げに対する報復と解釈され、4月以降、中国は複数のレアアース製品や磁石を輸出制限リストに加えてきた。その結果、一時的にアメリカへの供給がほぼ途絶した。

実際、今年4~5月にかけて輸出審査が厳格化した影響で、アメリカ向けの中国産磁石は46トンまで落ち込み、アメリカ国内の一部製造業で供給網が寸断された。これを受けてアメリカ政府は迅速な対策を講じ、中国に再交渉を求めた。

米通商代表部(USTR)のグリル代表は、8月初旬のインタビューで「中国が世界の磁石市場を支配しているという事実は否定できない。そのため、アメリカとして磁石が自由に取引できる供給体制を維持することを最優先課題としている」と強調した。米中貿易交渉でも磁石供給網の安定化が重要議題の一つとなっている。

最新の中国税関当局の発表によれば、7月の稀土磁石の輸出量は合計5577トンに達し、今年の単月で最大記録となった。このうち対米輸出は619トンで、前月比75.5%、前年比4.8%を増加した。7月の米中間交渉で磁石供給に関する進展があり、輸出規制前の水準に戻ったことを示す数値である。

トランプ大統領は会談後に「アメリカは現在、関税や経済政策を通じて過去にないほどの交渉力を持っている」と述べ、自信を示した。さらに「今のアメリカと中国の経済関係は前政権時代に比べて遥かに良好だ」と現政権の成果を強調した。

また外交についても言及し、「習近平から訪中を要請されている。今年あるいは近い将来に訪中する可能性がある」と語った。隣にいた李在明大統領に対しては「一緒に中国へ行くのはどうだろう。二人で同じ飛行機に乗れば、省エネルギーにもなるだろう」と冗談を交え、会場を和ませた。

林燕