香港の自由は6年の歳月の中でさらに奪われた。遠い出来事のように見えても、私たちの社会にも重なる危機がある。今こそ香港の声に耳を傾ける時かもしれない。
2019年8月23日、香港では20万以上の市民が手をつなぎ、約60キロに及ぶ「人間の鎖」を築いた。「香港之路(いわゆる『香港ロード』)」と呼ばれるその平和的な抗議には、民主と自由を守り抜こうとする切実な願いが込められていた。

あれから6年が過ぎた今、香港の言論と自由は徹底的に押し潰され、多くの若者や活動家が牢獄に消えている。絶望の果てに異国に身を投じるしかない人々も増え続けている。自由を求めたはずの街は、暗い影に覆われ続けている。

この週末、ロサンゼルスの中国総領事館前では、海外に住む中国出身者や香港人が「香港之路」六周年を記念する集会を開いた。参加者は再び手をつなぎ、「暴政は永遠に真実を閉じ込めることはできない」と声を張り上げ、非暴力で結束する意思を世界に示した。訴えは香港支援にとどまらず、中国本土の人々に「共に立ち上がろう」と呼びかけるものだった。
(2025年8月23日、ロサンゼルスの中国総領事館前で「香港之路」六周年を記念する集会を開いた海外在住の中国出身者や香港人。参加者は再び手をつないだ。NTDより)
集会では、中国民主人権連盟 南カリフォルニア責任者の史慶梅氏が「もし中国大陸の人々も手を取り合えば大きな影響を及ぼし、団結して中共に抗うことができる」と訴えた。活動の総策劃・王宗献氏も「皆で手をつなぎ、心を一つにして勇気を分かち合い、民主と自由を追求し続けよう。共産党が倒れるその日まで」と呼びかけた。

さらに現場では、1989年8月23日にバルト三国で200万人が手をつなぎ、約600キロにわたる「バルトの道」でソ連支配に抗議した出来事が引き合いに出され、香港の闘いは自由への連帯の歴史と重ね合わされた。

この日、英国や米国ニューヨーク、サンフランシスコなど世界各地でも華人が呼応し、「手をつなぎ、自由を守ろう」と題した活動が同時に行われた。香港の精神は、いまも海を越えて人々を結びつけている。

日本から見れば「遠い場所の出来事」と感じる人もいるだろう。しかし、自由を奪われた香港の姿は、私たちに自由を守ることの尊さを教えている。だからこそ香港の声に耳を澄ませ、その苦しみに共に心を寄せることが、私たち自身の未来を守ることにつながるのかもしれない。

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