激変する中国 庶民いじめの「城管」暴力に怒り爆発 不穏な空気が全国に広がる

「立ち上がった市民!」 中国・武漢で千人抗議 公安の部隊を包囲【動画あり】

2025/08/27 更新: 2025/08/27

湖北省武漢市で8月25日夜、市民数千人が公安の部隊を取り囲む前代未聞の抗議が発生した。

きっかけは「城管(都市管理当局)」が市民に暴力を加えた事件である。暴行を受けたなかには妊婦も含まれ、流産したとの情報が広がった。これを機に、市民が長年抱えてきた城管への恨みが一気に爆発した形だ。広場では「助けて」と叫ぶ声や太鼓の音が響き、警察が市民を盾で殴り倒す場面がSNSで拡散された。

「城管」は本来、都市の秩序や景観を保つことを名目に設けられた行政組織で、無許可の屋台や路上販売を取り締まる役割を担うとされている。だが実態は、露天商の商品を強引に奪って懐に入れたり、恣意的に罰金を科して私腹を肥やしたりすることが横行してきた。そのため取り締まりは常に暴力的になり、生活の糧を得ようとする露天商からは恐れられ、暴力の場面を見慣れた市民からも「庶民いじめ」として嫌悪されている。

 

中国の「城管」。露店営業者の許可証をチェックしている(中国のネットより)

 

昨年は四川省成都で果物売りへの暴行をきっかけに千人規模の抗議が発生し、パトカーが包囲される騒ぎとなった。中国各地で城管が露天商を殴打する映像はSNSで拡散され、老婆が泣きながら商品を守る姿は市民の憤りをかき立ててきた。今回の武漢での事件も、積もり積もった怒りが一気に爆発したにすぎない。

 



「城管」の暴力に市民の怒りが爆発 千人の市民がパトカーを包囲して抗議=成都市

中国で市民が公権力に立ち向かい、抗議する事件が発生。

 

当日、城管が複数の市民を殴打し、その中には流産したとされる妊婦も含まれていたとの情報が広がり、抗議が一気に拡大した。これを受けて公安が「安定維持」を名目に現場へ駆けつけたが、力ずくで群衆を抑え込もうとしたため逆に民衆の怒りを増幅させた。現場の映像には、女性の悲鳴や市民の怒号が飛び交う中、公安が群衆に襲いかかる様子が生々しく映し出されている。抗議は深夜まで続き、警官隊と市民の衝突は収まる気配を見せなかった。

 

(現場の様子、2025年8月25日、湖北省武漢市)

 

SNSでは「武漢の市民がよくやった!」「ついに立ち上がった」「遍地烽煙。至る所でのろしの煙が上がっている」といった喜びの声が飛び交った。市民の勇気を称え、逆に公安を「悪」と断じて非難する投稿が相次ぎ、ネット空間は一時、拍手と歓声で埋め尽くされた。

 

(現場の様子、2025年8月25日、湖北省武漢市)

 

同じ日、別の地域でも大規模な抗議が起きていた。広西チワン族自治区では、ジャスミン茶の原料となる花を栽培する農家が、市場への入場規制に反発して蜂起したのである。地元政府が新たに、取引の際にQRコードと指定銀行口座の連携を義務づけたためだ。ジャスミン茶用の花の価格はすでに歴史的な安値に落ち込み、農家の間には大きな不安が広がっていた。そこへ高齢の農民には扱えないスマートフォン操作まで強制されたことで、鬱積していた怒りが一気に爆発した。

中国全土で鬱積した不満は、いまや圧力鍋のように限界に達している。少女の死に抗議した江油の市民のように、直接関係のない出来事でも人々は次々と立ち上がり、火種はどこからでも燃え広がる。専門家は「動乱の前夜、そして夜明け前にある」と警告するが、それは決して大げさではない。中国はいよいよ爆発の瀬戸際にある。そう感じさせる不穏な空気が、街角からネット空間まで覆っている。
 

2025年8月4日、江油市で数千人の市民が市政府前に集まり抗議を行い、当局が弾圧し、流血事件が発生した(ビデオのスクリーンショット)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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