きょう(2025年9月3日)、中国・北京で軍事パレードが行われる。
開催地の北京は、まるで戦時下のような統制に覆われている。地下鉄の車両は武装警察で埋め尽くされ、メインストリート・長安街周辺の商店は閉鎖、観光名所の故宮も臨時休館となった。市民は自宅に入るにも身分証の提示を求められ、写真撮影に人気の「花壇」には10人もの警察が張り付き監視していた。

だが、この徹底した統制にもかかわらず、各地では抗議の火が消えない。北京の公共トイレの壁には「独裁者やめろ!」「全民反抗」といったスローガンが貼られ、「トイレ革命」と呼ばれる抗議運動が拡大している。市内の掲示板には腐敗や指導力不足を糾弾し、習近平の不適任を訴える張り紙も出現。さらに8月29日夜には、重慶市のビルに体制批判の巨大スローガンが約50分間投影され、市民の抵抗の象徴となった。

経済低迷と失業拡大で市民の不満が高まるなか、中共は少なくとも360億元(約7200億円)を費やして軍事パレードを強行。「経済がどれほど破綻しても、面子のための権力ショーは欠かさない」と批判の声が殺到している。
今回のパレードにはロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記、イラン高官らが出席予定で、国際社会からは「専制体制の共演」との見方が強まっている。

台湾・国立中山大学の中国とアジア太平洋地域研究所・郭育仁(かく・いくじん)所長も「巨額の金を軍事ショーに投じる一方で、経済や労働・社会問題は無視されている。こうした現実を中国の人々はどう受け止めるのか」と疑問を投げかけた。

人権弁護士の呉紹平氏は「いまの中国社会は火薬庫のような状態にあり、小さな火花でも政権は人民の怒りに飲み込まれる危険がある」と警鐘を鳴らす。
巨額を浪費して軍事パレードを演出しながら、民の問題を放置する政権は、果たしていつまでその権力を維持できるのか。パレードは権威の誇示か、それとも崩壊の序章か──答えは間近に迫っている。

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