中国共産党(中共)財政部の藍佛安部長はこのほど、2024年末時点で政府全体の債務残高が92.6兆元に達し、100兆元(約2千兆円)の大台に迫っていると明らかにした。専門家からは「中央政府の歳出はほぼすべて借金に依存しており、財政システムは崩壊の瀬戸際にある」との警告が出ている。
地方政府の「隠れ債務」
国務院新聞弁公室は9月12日に記者会見を開き、藍佛安は地方政府の隠れ債務が2024年末時点で 10.5兆元 に上ると公表した。これは法定の債務枠を超えて財政資金による返済を約束したり、違法な保証を行った結果生じた借金で、昨年12兆元規模の処理策を導入した後の最新数値となる。
藍佛安によると、2025年8月までに地方政府は4兆元の再融資用特別債を発行し、平均金利は2.5ポイント以上低下した。特別債は近年、インフラ事業の主要な資金調達手段となっており、2024年には10兆元規模の債務置換計画が発表され、今後5年間で地方融資平台(地方政府が設立した「融資のための会社」)の隠れ債務を特別債に置き換える方針が示されている。
ただ、国際格付け会社フィッチは今年4月、地方政府の特別債の利払い負担が急増していると警告。利払い比率は2019年の2.9%から2023年には7.6%に拡大し、2025年には10%に達する可能性があると指摘した。
政府債務の内訳
藍佛安は、2024年末時点の債務の内訳についても次のように説明した。
- 国債:34.6兆元
- 地方政府の法定債務:47.5兆元
- 地方政府の隠れ債務:10.5兆元
これらを合わせた債務総額は 92.6兆元 に達する。
「借金なしでは国を回せない」
中国問題専門家の章天亮氏は、今回の数字が深刻な構造問題を示していると指摘した。
2024年の全国財政収入は23.4兆元(中央10.1兆元、地方13.3兆元)だったが、中央政府はその大半を地方への財政移転に充て、10.2兆元を地方に下ろした結果、中央の歳入だけでは約1千億元不足したという。
章氏によれば、中央は国防、教育、外交、「一帯一路」、軍事パレードなどに毎年4.5〜5兆元を必要とするが、実際には借金なしでは賄えない。「中央政府の歳出は事実上すべて借金に頼っている」と章氏は述べ、「中国経済は危機的状況にあり、財政は崩壊寸前だ」と警鐘を鳴らす。
今後のリスク
章氏はさらに、経済減速や住宅市場の低迷、新エネルギー車や太陽光パネルへの国際的な逆風を背景に、財政収入は今後も縮小すると予測。借金依存が続けば、
- 政府債務のデフォルト
- 通貨発行の拡大によるインフレと人民元安
- 増税による国民負担の増加と景気後退
といったリスクが現実味を帯びると警告した。
習近平はすでに追い詰められており、中国経済は加速度的に悪化していると章氏は結んだ。
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