トランプ大統領 オレゴンに州兵派遣 「国内テロ」対処で「全面的武力行使」も

2025/09/30 更新: 2025/09/30

米国内治安対策をめぐる緊張が高まる

トランプ大統領は9月27日、西部オレゴン州ポートランドに州兵を派遣するよう命じた。大統領は「国内テロ」への対処が目的だと強調し、必要に応じて「全面的な武力行使(Full Force)」を取るよう指示した。

同日、大統領は自身のSNS「トゥルースソーシャル」に投稿し、国土安全保障省ノーム長官の要請を受け、戦争省のヘグセス長官に対し「アンティファやその他の国内テロリストからポートランドや移民税関捜査局(ICE)施設を守るため、必要な軍隊を投入するよう指示した」と明らかにした。

一方、ポートランドのキース・ウィルソン市長は「市政府は連邦職員の大量派遣を望んでいない」と反発。「これは権限を超えた行為であり、市の施策を妨げるものだ」と批判した。

トランプ氏は25日、ポートランドで「狂気じみた連中」が建物に放火しようとしていると述べ、彼らを「職業的な扇動者であり無政府主義者だ」と非難。さらに22日にはアンティファを「国内テロ組織」と定める行政命令に署名し、違法行為の摘発を指示していた。

背景には、24日にテキサス州ダラスのICEオフィスで発生した銃撃事件もある。仮拘留中の1人が死亡、2人が負傷し、犯人は現場近くで自殺していた。事件は国内の治安不安を一層強めた。

2020年5月、ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が警官に押さえつけられ死亡した事件は、全米に大規模な抗議運動を引き起こした。当初は警察暴力や人種差別への抗議として始まったが、一部の都市では暴動や放火、略奪に発展。こうした騒乱の中で、左派系の急進的団体「アンティファ(反ファシスト運動)」が暴力行為や破壊活動に関与していると第一次トランプ政権側は非難した。

その後もアンティファの活動は治安問題として注目され続け、トランプ大統領は彼らを「国内テロ組織」に指定する方針を繰り返し示してきた。

トランプ政権はすでにロサンゼルス、ワシントンD.C.、メンフィスなどでも州兵を展開。2020年のフロイド事件以降続く抗議・暴動と「アンティファ」問題を背景に、連邦政府が強権的な治安対策を強める姿勢が鮮明になっている。

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