自由民主党の新総裁に高市早苗氏が選出された。その政策や政治姿勢は、海外諸国や金融市場、そして国内の連立与党にも大きな波紋を広げている。
高市氏は経済政策として「サナエノミクス」を掲げ、これはプライマリーバランス(PB)黒字化目標を凍結し、大胆な財政出動を柱とした。その他、ガソリン暫定税率の廃止、年収の壁の引き上げ、給付付き税額控除の制度設計に着手する方針を示している。
安全保障政策では、海外からの投資を厳格に審査する「対日外国投資委員会」の創設、新たな戦争形態にも対応できる国防体制の構築、戦略三文書の見直し、多角的な経済外交の推進を掲げた。
高市氏の総裁就任に対する各国の反応は、国によって大きく異なっている。
台湾では与党・民進党が4日、頼清徳総統兼党主席の「心から、最も熱烈に祝福する」とするコメントを発表した。一方、中国は強い反発を示しており、中国共産党系の環球時報は靖国神社参拝を継続する意向や台湾との連携強化の姿勢を問題視し、高市氏を「右翼政治家」と批判している。韓国でも、歴史認識問題をめぐって日韓関係のさらなる悪化を懸念する声が上がっている。
高市氏の就任は、国内の政権枠組みをも揺るがしている。
毎日新聞などの報道によると、公明党の斉藤代表は自民党の高市新総裁と会談し、靖国参拝や外国人政策などに関する懸念点を伝え、「このままでは連立の維持は困難」と述べた。
その一方で、参政党からは協力の呼びかけがあった。報道によれば、参政党の神谷宗幣代表は「日本の国益を追求する点で高市氏の考えは我々と軌を一にする部分が多い」と評価し、憲法改正や経済安全保障といった分野で「政策協力を積極的に呼びかけていきたい」との意向を表明した。
公明党の連立離脱を示唆する発言は、高市総裁が目指す初の女性総理誕生に冷や水を浴びせる形となっている。
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