反グローバリズム掲げる参政党 高市政権との連立可能性は否定

2025/10/09 更新: 2025/10/09

参政党の神谷宗幣代表は10月8日、国会内で自民党の高市早苗総裁から新執行部発足のあいさつを受けて面会し、記者団に「政策が近いものは協力できるし、国益にかなうものは賛成する」と語った。連立の可能性については「党の状態が未完成だ。全く検討していない」と明確に否定している。

参政党は自身を「反グローバリズム」勢力と規定しており、党公約や代表インタビュー、政策発信等で国家や地域の伝統・独自性の尊重を軸としており、国際協定やグローバル規格による主権侵害への懸念を表明している。

政策の一致や国益重視では他党とも協力する姿勢を示す一方、グローバル化への抵抗や移民政策、多国籍企業主導の経済運営への批判も明確にしている。

また、皇室の尊重や伝統文化の回復など従来保守政党に通じる要素を取り入れつつも、既成保守層との違いとして「反グローバリズム」のスタンスで差別化を図っている。

参政党と自民党のスタンスの違いは、具体的には消費税政策で端的に現れている。参政党は消費税の段階的廃止を進め、国民負担を直接軽減し、国民負担率も35%以内に収めることを政策として掲げている。

高市早苗氏は2025年10月、自民党総裁就任後の記者会見等で、消費税減税について「選択肢として放棄しない」と明言したが、給付付き税額控除などのすぐに対応できる施策を優先したいとの考えを示している。石破政権では消費税廃止や減税に消極的であり、2025年の公約も給付金一律2万円など一時的な支援にとどまった。

参政党は、移民政策についてもグローバリズム批判の立場から、実質的な移民政策である特定技能制度の見直しを行い、外国人の受入れ数に制限をかけ、外国からの影響を制限するため、帰化及び永住権の要件の厳格化を行う。

日本人の雇用や治安維持を優先している。高市総裁も不法滞在や外国人による土地取得などへの対策強化を訴えている。石破政権では労働力や経済成長に資するとの観点から、一定条件で外国人労働者や移民受け入れを進めてきた。

社会政策においては違いが大きい。参政党は日本の伝統や文化の復興、皇室の尊重を掲げ、ワクチンやグローバルスタンダードの制度導入にも消極的である。他方、石破政権はグローバル基準や先進国型の制度導入に前向きな姿勢を取っていた。

以上のように、参政党は反グローバリズム、日本人ファースト、伝統保守を前面に据える一方、自民党は政権与党として経済合理性と現実的な多様性を重視する現実路線を取ってきた。

参政党の神谷宗幣代表は5日、広島市で街頭演説し「今、連立を組むことはない。われわれは自民が駄目だからつくった政党だ」と訴えている。高市総裁の新たに掲げた政策について参政党との共通点もあるが、実現するには党内や既存支持団体などの調整などが課題となるだろう。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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