台湾国民党の党首選挙に台湾域外からの情報工作

2025/10/15 更新: 2025/10/15

最大野党・国民党の党首選挙が10月18日に投開票の日を迎える。選挙戦を前に台湾では、中国共産党政府をはじめとする海外勢力による情報工作の疑いが浮上している。中央通訊社が報道した。

党首選を目前に控えた10月15日、台湾国家安全局の蔡明彦局長は「選挙関連動画の拡散アカウントの半数以上が台湾域外から発信されている」と公表した。

確認された約1千本の動画の多くは、中国版TikTok「抖音」やYouTubeで拡散されていた。複数の候補者は「中国共産党系ネット軍」の介入を訴え、AIを用いた世論操作の可能性を指摘した。台湾当局はアカウントが中国大陸のものかどうか質問されると、「域内のものではない」とのみ答えている。

国民党の連勝文副主席は「境外勢力の活動は党の自律性を損ないかねない」と警鐘を鳴らし、民進党の陳冠廷立法委員は「民主主義全体への脅威」と強調している。蔡局長は法制度の不備を指摘し、反浸透法などの改正を求めた。政府はSNS上の情報操作への対策強化を進める方針だ。

昨年5月、頼清徳氏が第16代台湾総統に就任した。しかし、2024年1月の立法院選挙で与党・民進党が過半数を失い、野党・国民党が多数派を握ったことで、頼政権は議会運営で苦境に立たされている。

今年4月、国民党の傅崐萁(ふこんき)立法委員らが訪中し、中共全国政治協商会議主席・王滬寧(おう こねい)氏と会談した。5月には国民党と民衆党が立法院で行政監視を強化し、立法権を強化する「国会職権法」などの法案を提出し、28日に一部条文が可決。与野党対立の焦点となった。

これを受け、台湾市民の間に中共の影響拡大への警戒感が広がり「青い鳥運動」と呼ばれるリコール運動などの抗議行動も発生したが、リコールは実現しなかった。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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