「一日0円で香港を満喫できる」と題した中国の動画が物議を醸している。撮影者は無料の飲水機や公共浴室、慈善団体の配給食まで紹介し、「香港で一銭も使わずに遊ぶ方法」として発信。しかしその内容に、香港市民からは「善意の悪用だ」と怒りの声が上がっている。
香港で公開されたのは、中国本土のインフルエンサーが投稿した「0元遊香港(0円で香港を旅する)」という映像。彼は「一日中お金を使わずに楽しむ方法」として、地下鉄駅の無料給水機で水を汲み、充電サービスを使い、さらに夜はマクドナルドで休む様子を紹介した。
問題となったのは「福飯」と呼ばれる慈善配給を「無料の夕食」として推奨した部分だ。映像では「魚も肉もあってけっこう豪華」と語り、「弁当箱を持って行けばゼロ円で食事ができる」と説明していた。

この動画に対し、香港のSNS上では非難が殺到。「福飯は生活に困っている人への支援。観光客が奪うのは道義に反する」「善意を利用した節約は恥ずかしい」といったコメントが相次いだ。
また、地下鉄の飲水機や公共浴場、24時間営業のマクドナルドなどを「無料宿泊スポット」として紹介した点についても、「本来は市民のための設備だ。観光客が押しかければ本当に必要な人が困る」との懸念が広がっている。
批判を受けて投稿者は「香港の公共サービスを紹介するつもりだったが、福飯の件は考えが浅かった」と謝罪した。しかし、中国では経済低迷の影響で「節約旅行」ブームが拡大しており、同様の「0円香港攻略」動画が次々と投稿されている。中には「18.8元(約400円)で日帰り香港ツアー」など極端な節約例も見られる。
結局、香港の寛容さは観光資源ではなく、社会の良心である。人の優しさを踏み台にした旅は、どんな景色を見ても心が貧しいままだ。

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