トランプ大統領 ウクライナへのトマホーク供与見送り NATO事務総長が支持

2025/10/23 更新: 2025/10/23

トランプ大統領はウクライナへのトマホーク巡航ミサイル供与を見送り、NATO事務総長ルッテ氏も支持を表明。アメリカはロシアへの制裁を強化し、ヨーロッパとウクライナは12項目和平計画を協議、停戦実現に向けた動きが加速している。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は10月22日、ホワイトハウスでNATO(北大西洋条約機構)のマーク・ルッテ事務総長と会談した。会談後、ルッテ氏はトランプ氏がウクライナに「トマホーク」巡航ミサイルを供与しないと決めたことを支持すると表明した。

トランプ氏との会談から数時間後、ルッテ氏はCNNのインタビューに応じ、「大統領が本日行った説明は正確である。『トマホーク』ミサイルの運用には、米軍以外の者が使用する場合、数か月に及ぶ訓練が必要であり、その点で彼の指摘はまったく正しい」と述べた。

さらに「本日決定したからといって、ウクライナの兵士が明日からそれを使えるわけではない」と強調した。

トランプ大統領はオーバルオフィスで記者団に対し、この強力な兵器を運用するには約1年の訓練期間が必要であると説明した。
「トマホークの運用習得には極めて高度な訓練が求められる」とトランプ氏は述べ、「これは非常に強力で精密な兵器であり、その複雑さゆえに扱いが難しい。訓練には1年を要する。1年間の集中的な訓練を経なければ運用できない。われわれはその使用方法を把握しているが、他国に教えるつもりはない。即効性のある対応にはならないからだ」と語った。

アメリカがトマホークの供与を見送る一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はトランプ氏との会談を「前向きなものだった」と評価した。ただし同時に、この決定がロシアの外交交渉意欲を弱めるとの懸念も示した。

対ロ制裁強化で一致

ルッテ氏は、トランプ氏とロシア経済に対する圧力を強化することで一致したと明らかにした。22日、アメリカ政府はロシア最大手の石油企業2社――ロスネフチ(Rosneft)とルクオイル(Lukoil)――に対し、新たな強力制裁を発動した。これはトランプ政権によるロシア・ウクライナ戦争関連措置の中で最も大規模なものの一つであり、クレムリンの戦費調達能力を抑制する狙いがある。

この措置について問われたトランプ氏は、オーバルオフィスで「時機が到来したと感じた。われわれは長い間待っていた」と語った。

さらに「これは非常に強力な制裁である。対象は2つの大手石油会社であり、制裁が長期化しないことを願っている。戦争が解決に向かうことを望む」と述べた。

ルッテ氏は「プーチンが脅威を感じ、状況が悪化していると認識すれば、彼は必ず行動を起こすだろう」と指摘した。「これらの動きは、ロシアが安定した立場にないことを示している。ロシア国民も経済も厳しい状況にある」と述べた。

ヨーロッパ「12項目和平計画」協議 現戦線での停戦を支持

会談では、ヨーロッパ諸国とウクライナが共同で策定した「12項目の和平計画」についても協議が行われた。同計画はロシア・ウクライナ戦争の終結を目的とした提案であり、モスクワへの圧力を強めるため、さらに厳格な制裁措置を求めている。

この和平ロードマップに関して、トランプ氏とルッテ氏の立場は極めて近い。欧州側の終戦案は現戦線を基礎に停戦を実現するよう呼びかけており、これはトランプ氏が最近示した提案とほぼ一致している。

トランプ氏は、「ロシアが現在の前線で戦闘を終結させ、撤退することを望む」と強調した。

また、欧州側の提案には、ロシアに対しロシア国内へ連行された子供たちの返還、捕虜交換、ウクライナへの安全の保証、戦後復興基金の設立、ウクライナのEU加盟に向けた明確な道筋の提示、さらにキーウへの追加的な軍事支援の提供などが盛り込まれている。

陳霆