「アンティファって、結局何なの?」と友人に聞かれた。
「うーん、ちょっと複雑なんだ」と筆者は答えた。
そもそも、嘘と憎悪を動力として動いている集団をどう定義すればいいのか?
まず、米保守派政治家のチャーリー・カーク暗殺の容疑者とされるタイラー・ロビンソンが所持していた弾薬に刻まれた銘文について考えてみよう。そこには、「おい、ファシスト」と刻まれていた。別の弾薬には、イタリアの歌「ベラ・チャオ」のコーラスが刻まれていた。この歌はアンティファのアンセム(応援歌)として広く知られている。興味深いことに、この歌は、自らを革命家やレジスタンス戦士と称する者たちによって、長年にわたり利用されてきた。
つまり「アンチファシスト」の略称であるアンティファが、複数の説によれば、第二次世界大戦中に独裁者ベニート・ムッソリーニに抵抗したイタリアのパルチザンが広めた歌を、自らの象徴として取り入れたことが明らかになった。
しかし、少しでも歴史を知る者なら、ムッソリーニ政権およびその傀儡政権を打倒するためにイタリアのレジスタンスを支援したのが、他ならぬアメリカであったことを理解しているはずだ。アメリカは戦略情報局(OSS)を通じてイタリア抵抗運動に重要な支援を行っており、その経緯は、第二次大戦中にスパイとして活動したジャーナリスト、ピーター・トンプキンスの記録としてCIAのウェブサイトにも掲載されている。
アメリカはファシズム打倒のために、数十万もの命を犠牲にした。そのアメリカに対し、いまや暴力的な暴徒たちは、妄想の中で作り上げた「アメリカのファシスト」と戦うと称して、社会に混乱を撒き散らしているのである。
チャーリー・カークが「自由」という言葉の裏に隠れたファシストではなかったことは、誰の目にも明らかだ。彼はトランプ政権を支持していたが、そのトランプ政権自体もまた、不当かつ不条理に「ファシスト」とのレッテルを貼られている。
では、いわゆる反ファシスト活動家が、生涯ほぼ毎日言論の自由を擁護してきた男の殺害を、どのように正当化できるのか。カーク自身が2020年に書いたように「アンティファはアメリカにおける『ファシズム』と戦うよりも、ファシズムを助長している」のだ。
トランプ大統領が10月8日に開催したアンティファに関する円卓会議で、ボンディ司法長官はアンティファを「国内左派のテロ組織」と明確に定義し、その活動について次のように説明した。
「彼らは目立ちたがりで、それが許されてきたので、何年にもわたってビデオに映っているのを見てきた。ジャーナリストを殴り、裁判所を攻撃し、警察署を襲撃する。法執行官の個人情報を晒し、暴行を加えるのだ」
ノーム国土安全保障長官は、アンティファを「テロリスト」と評し、彼らの目的を「アメリカ国民と我々の生活様式を破壊すること」にあると述べた。一方、パテルFBI長官は、アンティファを「組織化された犯罪者やギャング、そしてそう、国内テロリストだ」と表現した。
トランプ氏は円卓会議の冒頭で、左派による暴力の最近の事例をいくつか挙げた。
シカゴでは、無政府主義者の集団がICE(移民・関税執行局)の施設を監視し、職員の名前や顔写真、バッジ番号を公開した。明らかに脅迫を意図した行為である。
テキサスでは、アンティファ系の過激派がICEの建物に侵入し、数十発の銃弾を発射。警官の首に重傷を負わせる事件も発生した。
オレゴン州ポートランドは、いまや極左活動の温床と化している。連邦施設への包囲が繰り返され、暴徒が合法的に移民政策を執行する警官に暴行を加える事態が常態化している。
さらにダラスでは、ICE施設を狙った狙撃攻撃により2人が死亡。「これでICE職員に本当の恐怖を味わわせられるだろう」との警告が添えられていたという。
これらの事件は、偶発的なものではない。トランプ氏が「左派テロ」と呼ぶ、組織的かつ拡大傾向にある脅威の一端にすぎない。
会議の席上、海軍情報部出身で『ヒューマン・イベント』誌上級編集者のジャック・ポソビエック氏は、アンティファの本質について次のように端的に述べた。
「アンティファは現実に存在する。アンティファはほぼ100年間、さまざまな形態で存在してきた。場合によってはドイツのワイマール共和国まで遡ることもできる。そして、極左派がチャーリー・カーク氏を殺害してからまだ1か月も経っていない。その間、他の極左派や権威ある立場の人々、看護師やパイロット、医師、人事部門の者たちがカーク氏の死と殺害を祝っている。この社会に蔓延する病理は紛れもなく現実だ」
ポソビエック氏の発言は、恐ろしい可能性を示唆している。すぐ隣の普通の人々でさえ、今日カーク氏の死を祝っているが、明日にはアンティファの構成員として自ら暴力に加わるかもしれない。アンティファは間違いなく、そうした人々を活用すべき人的資源と見なしているだろう。
アンティファは極左の国内テロリズムという大きな括りに分類されているが、その実態を把握するのは容易ではない。つまり、急速に変化する狂信的な活動家たちや、彼らを惹きつける緩やかな組織群に対して「アンティファ」という呼称が追いついていないのだ。
しかし、アンティファの暴徒を嘲笑する人々も、実のところ彼らと同じ無知をさらしている。第一に、アンティファとそのメディア擁護者たちは、シャルル・ド・ゴール将軍率いる英雄的な自由フランス軍など、常に死の危険にさらされながらナチス占領軍と戦ったヨーロッパの戦時反ファシスト組織の遺産を軽んじている。
現代の反ファシストたちは歴史を歪め、第二次世界大戦のような実存的脅威が存在しないにもかかわらず、まるで風車に突撃するかのように「見えない敵」と戦っている。第二に、戦時中の抵抗組織は、抑圧的な政権や残虐な占領に立ち向かうための必要な手段として暴力を用いていた。
だが、正当に選出された大統領が民主主義体制の下で統治している今年のアメリカには、そうした状況は存在しない。
とはいえ、ワイマール時代の一部の反ナチス団体、特にKPD(ドイツ共産党)とその過激派組織である反ファシスト活動などの極左共産主義者は、実際にヒトラーの台頭に貢献した。
彼らは内部抗争によって反対勢力を分断し、自らの革命的理想への絶対的服従を求め、街頭での暴力行為によって共和国を不安定化させた。その結果、「秩序の回復」を掲げるナチスの宣伝に燃料を与えることになった。
こうした経緯は「革命的社会主義者によるニュースサイト」を名乗る『レフトボイス』に掲載された記事「The Origins of Antifa(アンティファの起源)」でも詳しく記録されている。興味のある報道関係者は参照するとよいだろう。
最後に、トランプ氏が「言論の自由を奪った」と発言した際に、憲法上の権利を公然と剥奪したことを認めたと誤解される主張を覆したい。アンティファに関する円卓会議で文脈を切り取られたこの発言は、実際には政権が「星条旗焼却の訴追」に関する大統領令を発令した際の法的方針転換を示している。
私たちのほとんどにとって、トランプ氏が言わんとしていたのは明らかに問題の再構築であり、星条旗焼却そのものを言論として犯罪化しようとするのではなく(裁判所はこれを繰り返し棄却してきた)、その二次的影響、つまり星条旗焼却が直接的な暴力や暴動を扇動する場合に焦点を当てた、ということだ。
「我々はこの問題を言論の自由の観点からではなく、アメリカ国旗を焼くことで多大な暴力を煽動しているという観点から見ている。実際、そのような事例は数多くある」とトランプ氏は述べた。
議論の緊迫感を最もよく示しているのは、ニック・ソーター記者の体験だ。彼はポートランドでの反ICE(移民税関執行局)暴動の最中、アンティファの活動家が国旗を燃やしている現場に遭遇し、燃え上がる旗を奪い取ったところ、暴徒に襲撃された。それにもかかわらず、ソーター氏は「秩序紊乱行為」として拘束され、旗を燃やした側は釈放された。
暴動の様子を記録していた保守系記者のソーター氏は、その映像をSNSに投稿した。彼への訴追は取り下げられたが、ポートランド警察に対して訴訟を起こすかどうかは不明である。
この円卓会議には他にも多くの記者や保守系インフルエンサーが参加し、アンティファに類似する集団からの暴行被害を証言した。独立系ジャーナリストのアンディ・ンゴ氏は、2019年にポートランドで襲撃され、脳出血で死にかけた体験を語った。
総じて言えるのは、私の周囲の誰もがアンティファの活動家になり得るということだ。だから、次に「アンティファとは何か?」と聞かれたら「わからない。ただ、彼らは私たちのすぐそばにいると思う」と答えるつもりだ。

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