中国は、今後5年間における主要な戦略的優先事項から電気自動車(EV)の指定を取りやめる動きを見せており、これにより、同国を世界最大のEV市場へと押し上げた積極的な国家主導の推進策が終了に向かう可能性を示している。
国営の新華社通信が火曜日に発表した中国共産党(CCP)の第15次五か年計画の概要草案によると、電気自動車は「戦略的新興産業」のリストから外された。
この文書は、最近閉幕した北京での中国共産党中央委員会年次総会で準備されたもので、今後5年間(2026~30年)の中国政府の経済方針を示している。
過去3回の五カ年計画では、バッテリー電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車を含む「新エネルギー車」が、中国の技術的競争力にとって極めて重要な戦略的産業として位置づけられていた。この指定により、中央政府と地方政府は、この分野に数十億ドル規模の補助金と税制優遇措置を注ぎ込み、BYDやGeelyなどの中国メーカーを世界のEVサプライチェーンの最前線に押し上げた。
しかし、新しい計画は転換点を示している。量子技術、バイオマニュファクチャリング、水素エネルギー、核融合を新たな成長エンジンとして強調する一方で、EVはもはや共産党政権の優先リストに含まれていない。自動車については、国内消費を押し上げるために自動車購入制限の解除を求める中で、住宅と並列的に扱われ、言及はわずかにとどまっている。
第15次五か年計画の最終版は、来年3月に中国の形式的な議会である全国人民代表大会に提出され、承認される予定である。
過剰生産能力と価格競争が重荷に
国際エネルギー機関(IEA)によると、昨年、中国は1200万台の電気自動車を生産し、これは世界全体の約70%にあたる。このうち約1100万台が国内で販売され、残りが輸出された。
かつて産業的な野心を象徴した中国のEVセクターは、現在、国内では熾烈な価格競争に巻き込まれ、海外では貿易摩擦を引き起こしている。
価格競争は今年特に激化している。10月現在、BYDの「Seagull(海鷗)」(Dolphin Surfとしても販売)は中国でわずか9800ドル強で販売されており、主要なライバルであるWuling Binguo(五菱賓果)は約8千ドルに設定されている。
この底値競争は企業の利益率を圧迫している。世界最大の新エネルギー車メーカーであるBYDは、8月に発表した第2四半期の純利益が前年同期比で30%減少したと報告した。同社は、「過剰な販売促進活動」と大幅な値引きが「短期的な収益性」に打撃を与えたと説明している。
価格引き下げは消費者に利益をもたらしたが、専門家らはこれを不健全なスパイラルと指摘する。自動車購入者は価格のさらなる下落を懸念して購入をためらうようになり、一方、財政的圧力を受けるメーカーは品質、安全性、またはアフターサービスで妥協を余儀なくされている。
その一方で、過剰生産分を海外市場で捌こうとする試みは、国際的な反発を招いた。2024年5月、アメリカは不公正な貿易慣行を理由に中国製EVに100%の関税を課し、欧州連合(EU)も同年10月、中国製EVへの関税を最大45.3%に引き上げた。
北京は自制を促す
当局はこの混乱を認識している。6月、中国工業情報化省はBYD、Geely、Zeekr、Xpengなどの主要自動車メーカー幹部を北京に召集し、国営メディアが「ラットレース(過当競争)」と呼ぶ事態について警告を発した。
その後数か月間、複数のハイレベル会議で自制の呼びかけが繰り返された。自動車メーカーには「自律」を徹底し、仕入れ先への支払いを60日以内に行うよう求められた。多くの企業が、支払いを数か月間遅らせることで価格競争をしのいでいたためだ。
この警告は自動車メーカーにとどまらず、地方政府にも及んだ。7月、中国の指導者・習近平は、同じ産業分野に殺到して投資する地方政府を異例の率直な言葉で批判した。
共産党の機関紙「人民日報」によれば、習氏は北京での会議で次のように述べている。
「新しいプロジェクトを立ち上げるとき、いつも同じものばかりだ。人工知能、コンピューティング能力、新エネルギー車だ。全国のすべての省が、これらの方向で産業を発展させるべきなのか?」
火曜日に新華社が公表した新しい五か年計画に関する演説の中で、習近平は地方政府に対し、地域の強みに即した産業に焦点を当て、いわゆる「新質の生産力」を発展させるよう改めて促した。
「我々は、関係するすべての当事者が健全で合理的かつ現実的なアプローチを採用し、新しい取り組みに一目散に突進することを控えるよう導くことを目指す」と述べた。
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