治安悪化に揺れる米・カリフォルニア州オークランド Flockカメラ導入を求める集会開催 

2025/11/01 更新: 2025/11/01

「コミュニティ参加連盟(Coalition for Community Engagement)」は、10月28日午後、アメリカのカリフォルニア州・オークランド市庁舎で開催した集会および記者会見において、市議会に対し、公共の安全を守るためオークランドでのフロックカメラシステムの拡充を承認するよう呼びかけた。

主催者のエドワード・エスコバル氏は、集会の冒頭で「公共の安全、公共の安全、公共の安全!」と声を上げた。エスコバル氏は、オークランドが制御不能な犯罪の波に直面しており、毎年1万台を超える自動車が盗まれていると指摘し、住民や事業者の安全が深刻に脅かされていると強調した。

エスコバル氏は「オークランド警察は人手不足であり、フロックカメラは警察が容疑車両のナンバープレートを特定し、事件解決や犯罪抑止に役立つ。2024年に導入されて以来、自動車盗難率は明らかに減少している」と述べた。

被害者支援者のブレンダ・グリシャム氏は、最近、自身の商業ビルが白昼に襲撃されたと語り「安全は事業者にとって最優先事項だ」と訴えた。グリシャム氏は「このカメラは顔認識を行わず、ナンバープレートのみを読み取るものであり、殺人や強盗事件の捜査に役立つ」と述べた。

西オークランド出身のステイシー・ホッグ・スチュワートさんの発言は、会場を静まり返らせた。スチュワートさんは「私の家族は1969年以降、叔祖父、代母、いとこ、夫が次々に銃撃で命を落とした。これらの事件はいずれも未解決だ。警察の予算が不足し、DNA鑑定には最低でも4500ドルかかる。私たちには真実を沈黙させないためのカメラが必要だ」と語った。

オークランド中華街商工会議所の会長、陳錫澎氏は、15年前に中華街へ監視カメラを導入した成功例を振り返り「カメラ設置後、商店街の安全は大幅に改善した」と述べた。志願団体はわずか1日で300筆の署名を集め、フロックカメラ設置を支持したという。さらに「全米有色人種地位向上協会(NAACP)オークランド支部も市長に書簡を送り、導入の承認を求めた」と付け加えた。

ジョージ・マシューズ主教も現場で支援の声を上げた。マシューズ氏は「選挙時に政治家たちは公共の安全を最優先と口にした。その言葉を行動で証明すべきだ。カメラは命を救い、犯罪を防ぐ。政治問題にすべきではない」と述べた。また、反対派が恐怖を煽っていると批判し「ここはサンクチュアリ・シティであり、オークランド警察はICE(移民税関執行局)とデータを共有しない。連邦政府はそもそもこれらのカメラに頼らずとも情報を入手できる」と語った。

サンノゼ出身の検察官で、サンタクララ郡地方検事候補でもあるダニエル・チャン氏も応援に駆けつけた。チャン氏は「オークランドの犯罪はサンノゼやベイエリア全体に波及している。最先端の技術を用いて犯罪と戦う必要がある。公共の安全は党派の問題ではなく、民主党も治安を重視する政党であるべきだ」と述べた。

A.D.シン・シドゥ=ブラール氏は「多くの事件は、警察の対応が遅いため通報すらされていない。フロックカメラは証拠収集や車両特定に役立つ。私たちは企業の閉鎖や住民の流出をこれ以上見たくない。商業を守り、雇用を生むためには、警察への資金提供と治安回復が必要だ」と訴えた。

SAFEの主催者クリス・ムーア氏は「オークランドの警察官数は現在507人まで減少し、来年には475人にまで減る見通しだ。警察力が縮小する中、テクノロジーこそが唯一の補完手段だ」と述べた。

Asians Unite創設者のトゥアン・ゴー氏も「フロックシステムの目的は犯罪者を捕まえることであり、移民を標的にするものではない。『移民が監視される』と主張する人々は、むしろ実際の大規模監視問題、たとえば『住宅登録システム(Registry program)』がハッキングされ、入居者情報が流出した件に目を向けるべきだ」と語った。

しかし、現場には反対意見もあった。反対派は、フロックカメラが単なるナンバープレート認識機能にとどまらず、オークランド警察がデータ流出を防げる保証もないと主張した。また、公式統計によれば、オークランドの犯罪率は過去10年間で減少傾向にあると強調した。

薛明珠
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