米財務長官「米住宅市場が減速」FRBに早期利下げ要請

2025/11/03 更新: 2025/11/03

米財務長官スコット・ベッセント氏は11月2日、高金利が米国経済の一部、特に住宅市場を圧迫しており、景気後退に陥りつつある可能性があると警告した。連邦準備制度理事会(FRB)に対し、速やかな利下げを実施するよう求めた。

ベッセント氏はCNNのインタビューで、「全体的にはまだ健全だが、一部の分野はすでにリセッション(景気後退)に入っている。FRBの政策は所得格差を広げる明確な『分配効果』を生んでいる」と指摘した。

同氏によれば、米経済全体は引き続き堅調であるものの、高水準の住宅ローン金利が市場を冷え込ませており、実質的には住宅市場がすでに後退局面にあるという。特に低所得層への影響が大きく、債務を多く抱える層ほど打撃を受けていると述べた。

全米不動産業者協会(National Association of Realtors)の統計によると、9月の米住宅売買契約数は前月比で横ばいとなった。

ベッセント氏は米経済の現状を「移行期(トランジション・ピリオド)」と表現した。

FRBはすでに2回連続で0.25%ずつ利下げを実施し、政策金利を3.75〜4%の範囲に引き下げているが、ジェローム・パウエル議長は10月29日の会見で、12月会合での追加利下げを見送る可能性を示唆した。この発言に対して、ベッセント氏や政府関係者からは批判の声が上がっている。

FRB理事でホワイトハウス経済諮問委員会(CEA)議長も兼務するスティーブン・ミラン氏は米紙ニューヨーク・タイムズの取材に対し、「この引き締め政策を長く続ければ、金融政策そのものが景気後退を引き起こす恐れがある。インフレ再燃の懸念がないなら、リスクを冒す必要はない」と述べた。ミラン氏は0.50%の利下げを主張し、0.25%幅の利下げ方針に反対した2人の理事の一人である。

ベッセント氏も同様の見解を示した。

またベッセント氏は、トランプ政権が進める歳出削減計画により、財政赤字のGDP比は6.4%から5.9%へと縮小する見通しであり、これもインフレ抑制に寄与すると述べた。「政府が歳出を抑制していることから、インフレ率は低下するはずだ。インフレが落ち着くなら、FRBは利下げすべきである」と強調した。

曾子衡