中国ではいま、電話やネットを使った詐欺が爆発的に増えている。被害者は「当局は何もしてくれない」と訴え、怒りと絶望が広がっている。
貯金を失い、借金を背負い、家庭を崩壊させた人も少なくない。中には、詐欺被害で命を絶つケースも報告されている。それでも中国共産党政権は十分に対応せず、人々の間には「共産党統治の国家では被害者ほど報われない」という失望が広がっている。
手口は多彩で、しかも巧妙を極める。
高利回りをうたう投資話で資金を引き出す手口、SNSや出会い系で信頼を築いてから金を巻き上げる恋愛詐欺、警察や銀行を装って口座を操作させるなりすまし電話、そして「指定の作業をこなせば、お金がもらえる」と募集し、アプリ操作を通じて金や個人情報を奪う手口もある。
近年では、画面共有や遠隔操作で直接口座を操作する手法も増え、仮想番号や海外回線で発信元を偽装するなど、技術を悪用した巧妙な詐欺が横行している。
詐欺グループは仮想番号や海外回線を使って発信元を偽装しているとみられ、通信の一部は中国国内の回線を経由している可能性も指摘されている。
それだけに、被害者や専門家の間では「追跡は可能なのに、なぜ当局は動かないのか」との批判が強まり、「黙認しているのでは」「一部が利権に絡んでいるのでは」との疑念が広がっている。
さらに人々を驚かせたのは、詐欺グループの首謀者である陳志(ちん し)が国内で「優秀企業家賞」を受けていたという事実だ。
中共公安部によると、昨年の電信詐欺事件は213万件を超え、被害総額は970億元(約2.1兆円)に達した。詐欺拠点は今や東南アジア全域に広がり、日米欧でも被害に遭っている人がある。米連邦政府の統計によると、昨年だけでアメリカ人の被害額は100億ドル(約1.5兆円)を超えた。
日本でも海外番号を使った詐欺電話が急増しており、「+86」など中国の国番号からかかるケースも多い。
中国語の自動音声や警察官を名乗る電話で「未払い請求」や「荷物の保管料」を装い、金をだまし取る手口が確認されている。警察は「知らない海外番号には応答しないように」と注意を呼びかけている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。